高校の頃、放課後部活で
外に出てトランペットの練習をしていると
ときどき屋上に
天使が座っているのが見えた
天使は私が吹くメロディーなど意に介さず
勝手にでたらめなうたを口ずさんでいた
夜が更けてたまたま学校のそばを通りかかった日も
天使は屋上にいた
ぽつんと一人で“けんけんぱ”していた
さびしそうにも見えた

卒業式の日
強い風が吹いたので
そちらを見上げると
旧校舎が取り壊されるのが見えた
来年からは新しい校舎になるという
目をそむける前のその一瞬
旧校舎のてっぺんに立って飛び立とうとしていた天使が
瓦礫に巻き込まれて消えるのが見えた





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