その最新型のバスに
カーテンなどというものはなく
並木の間から夕日が
私の右頬に落ちる
斜めに真っ直ぐに遠慮なく

前の席には
紺色の制服の少女が座っている
窓の桟に置かれた手の甲が見える
その白い手に
一匹の羽虫が黒いしみをつくっている

バスの窓から 交差点が見える
曲がる瞬間 交差した車線を正面から見る
三車線に
たくさんの車が虫のように
這ってきて皆
停止線でとまるぴたりと

三列の虫がきちんと並んでいる
気持ち悪いほどきれいだ

私はそれらをむりやり飲み下すが
やはり飲み込めず床に吐き出す
それはみどり色に輝きながら
後ろの席にちょこんと座った







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