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さあ、顔をこっちに向けな。器量の良い若い娘は良い値で売れる。あんたは顔も良いし健康そうだ、それに親が居ない。親が居ないってのは面倒がなくていい。分け前も減らないしね。…ちょっと、そこの。この娘に化粧をしておやり、客の目を引くイイ女にしてやんな。

ーーさあ、しっかり稼がせておくれよ。





「、……おい」
キッドさんに呼びかけられてハッと意識を戻す。握り締めた手を開くと、地面にぽたぽた血が落ちた。

「あ、……あはは。爪切らなきゃ」

下手くそな誤魔化しだ。これじゃキッドさんにも筒抜けになってしまう。このままじゃ、
「きら……」
キラーさんを呼びかけようとしたキッドさんの手を掴む。「…いやです」ステージの上で15番の男の値が繰り上がっていく。私は男の目が絶望に染まり、そして死の影に揺れるのを見た。
(ああ、それが一番いいと思ったんだ)

「キャー」
「た、倒れた!!!」
「何事だ!?血が見えたぞ」
会場中がざわめきに包まれるのを見据えながら、私はキッドさんに続けた。


「隣に居させてください」

しばらく黙っていたキッドさんが、深く、溜息を落とした。
「つくづく……強情な野郎だ」

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