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なまえは不意に目元をやわらげ、思い出すかのように遠くを見つめた。
「私にとってゴキブリは既に、恐れ、忌み嫌う対象ではないのです」
そりゃ私だって女の子だし?怖かったよ、昔は。


―――だけど思い出して皆、奴がもたらしてくれたのは私とキッドさんの1週間の同棲生活!


「あの幸せな日々は忘れません!ありがとうゴキ!君は害虫なんかじゃない!いわば愛のキューピット!」
『いやテメェ何言ってんの!!』
「待っててねキッドさぁあぁん!愛の戦士なまえ、いっきまーす!!」

≪おおおおォオッとォォ!なまえ選手、なまえ選手がゴキブリ達を蹴散らして進んでいきます!!!何と雄々しい!≫
「一寸の虫にも五分の魂!!」
『言いつつ蹴散らしてんじゃねェか!』

≪なまえ選手、G関門突破!一気にトップに躍り出ました!≫
客席がドォォッと沸き立った。

『つーか、泥沼がダメでゴキブリOKってどんな女だよ』
「こんな女っす。98パーセントがキッドさんで構成されてます!ちなみに残りは水分と優しさ!」
『気持ち悪ィ。…だが、よくやった』
「!!」
『そのまま突き進め!』
「ッイエッサー!!!」

≪なまえ選手の切り開いた道から雪崩れ込むようにして入り込んだ選手達もG関門を突破!お次は3つ目のトラップ、その名も≫

「……うわぁお」

私は目先にそびえ立つ巨大な木に圧倒された。しかし…この木の真の恐ろしさはその巨大さではなかった。

≪この大樹の名はミラーデビルツリー
…次なるトラップはあなた自身だ!!≫

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