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「通りまーすー」

カチコチな彼らをかき分けて前の方に出る。石になったわけじゃなさそうだ。(メデューサ説は削除と)

≪第二の障害はその名も、G関門≫
スピーカーからはやけにおどろおどろしい口調で進行の声がする。
私はようやく一番前に顔出す事が出来た。
そこでようやく、彼らが固まっている理由が分かった。

「…G関門」

≪ゴキブリ100匹VS屈強な戦士達!≫

コースを遮るように敷かれた太く白い紙。その白い部分を覆い尽くすほど黒く蠢いているのは間違いなくGだ。

≪その紙には、このデートモダン島のとある地域にしか実らない特殊な果実の液が使われており、ゴキブリはその甘い果汁が大好物なのです!さて戦士たちはこのゴキブリの道をどう切り抜けるのか≫

『…なまえ』

≪果敢な戦士、第一走者目のディドゥは惜しくもここで敗退だー!≫


キッドは唇を噛みしめて目を覆った。
…なんてえげつねェ競技だ。
こっちはスクリーン越しでまだマシだが…黒光りするアレのあの量。動き方。なまえが耐えられるはずもねぇ。

「終わったな」
小さく溜息を落としたキッドは、スクリーンに目をやる。最前列で俯いていたなまえの顔がスローモーションのようにゆっくり上がった。
「…なっ」


片眉を上げ、口元には嘲るような笑みを浮かべているなまえ。

『はぁ?』

彼女はさも海賊らしく、堂々とした出で立ちで彼らの先頭に立った。その表情には少しの陰りも恐怖も躊躇いない。誰もが目を見張った事だろう。

「なめんな」

彼女の唇がそう動いたのを、キッドは確かに見たのだった。

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