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『準備の整ったエントリー者達が続々と集まって参ります!さあ、いよいよ、恋人たちの戦いの火蓋は切られます…!!』
…あっれぇええ!!?ジュジュ男、どこにもいないんですけど!!
あの野郎まさか逃げたわけじゃあるまいな!
私、こうなったらもう賞金の5000万だけ持ち帰って喜ばせてやろう作戦に移行したっていうのに…相方いなきゃ不戦敗じゃん!!
「もう、もう…ジュジュ男ー!!」
『オォット…パートナーと再会できていないチームがいるようです!』
「実況うるさいわい!」
男性参加者が出てくる通路の方へ向かう。
ジュジュ男の姿はどこにも見えない。もう2分もすれば大会が始まるだろう。…くそうジュジュ男めぇええ
「これじゃ…キッドさんへのお土産…5000万も無し…トホホ」
手ぶらで帰るなんて、海賊としてあるまじき行為だ。
こ、こうなったらもうコンテストの裏側にワープして5000万どころかお宝根こそぎ奪ってやりましょうかグフフ!!
『オォット!ここで、最後の一人が出てきた模様』
「やっときたかジュジュ男めー!」
人垣をかき分けてそちらに向かう。こうなったら、意地でも5000万ベリー獲得するぞー!
「ジュジ、………ッ!!!!」
ヒュンッ、と息を呑む。
通路の奥に揺れる影は ジュジュ男よりも遥かに上背があり体格も良い、まるで別の男。身体の対比、節々のパーツ.....もうあのシルエットで分かる。
暗闇で鋭い眼光が揺れた。
「な、...…何で」
闇の中から光の下へ。陽光に晒されて一番に目に飛び込んできたのは、ライオンのたてがみのように緩やかに後ろへ流れた真っ赤な髪の毛。
「キッドさん…―――!!」
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