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海賊稼業に精を出し、敵船から強奪した酒で宴をしていたある晩のこと。それぞれの酔いも良い具合にまわり、私のテーブルでもまた話がゲスな方へ逸れていた。

「ところで、なまえ嬢と頭ってもうヤったのか?」

今日は珍しくキッドさんや、キラーさん達とは別のテーブルについていた私は、突然ぶっこまれたヒートさんからの爆弾発言にものの見事に赤面した。

「な、何だその反応初めて見たぞ……まさかまだ」
「は、はーーー!!!!??キッドさんのことなら大好きなんですけどーー!!」
「いや聞いてねェけども!」
「それ知らない奴いないだろ……。で、実のところどうなんだ?」
「キッドさぁーーーん!!らびんにゅーですよー!!」

遠くのテーブルに居るキッドさんに向かって愛を叫べば、顔を上げたキッドさんに中指を立てられて終わった。かわし方がクールでかっこいい。

「俺も好きだとか本当まいっちゃうわ」
「あの中指そういう意味あるんだ」
「っつーかいい加減白状しろ、お嬢!こっちは毎度毎度おじゃま虫扱いされてそろそろキレそうなんだよ!」
「だってそれはヒートさんが毎回毎回私とキッドさんのイチャイチャタイムに突入してくるからじゃん!!『大変です頭!!海軍が!』つって!もう『た』の字聞くだけでホラ蕁麻疹ですよ!!」
「それこそ俺にはどうしょうもないだろ!」
「で、結局シたのか?」

逸れまくった話を元に戻したワイヤーさん。
もう誤魔化せそうにない。
私は渋々答えた。

「………………てません」
「「マジか」」
「声揃えて言わないでくださいよう」

その返答が意外だったのだろう。二人は目を剥いて絶句している。

「ヤル事はもう絶対してると思ってたぜ、俺は」
「俺も……だって頭だしな」
「ちょっと!キッドさんのことヤリ×ンみたいに言わないで!」
「けど、頭と寝た女は翌朝まともに動けねェって噂聞いたことあるぜ」

グサグサッと胸に言葉のナイフが突き刺さる。
その女達の中に残念ながら私は入っていない。理由は分かってる!私が超絶恥ずかしがり屋さんだからだ。興ふ、緊張すると鼻血とかすぐ出ちゃうからだ!


「ぶっちゃけ言いますけど、私キッドさんの裸なんて見たら失血死する可能性あるんですよ!」
「そんなこと言ってお前頭のシャワーよく覗いてるじゃねーか!」
「そこは何故か湯気が!!いつだってキッドさんの破廉恥を隠してるんですよ!だから私はこう見えてまだ一回もキッドさんの裸は見たことありませんから!えっへん、へブラッ!」

どこからともなくスパナが飛んできた。

「え、き、聞こえたの??あんな遠いのに……??これってまさか……愛!!!?」
「とりあえず、頭から出てる血拭け。な」
「ありがとう。ヒートさん」

とにかく、今の段階で私とキッドさんが、その、ゴニョゴニョすることはできない。

「けど良いのか?頭だって男だ。溜まるもんもあるだろ」
「そ……それは……」
「明日には島につくだろうし、お嬢が相手しないんなら夜はたぶん「シャラーーーップ!!」

分かってる!
私だって、キッドさんが女の人を買うのなんて嫌だ。
それに、そろそろ次のステップに進むべきだとは何となく思ってはいたのだ。

私はキッドさんが他の女とフワフワするシーンを思い浮かべ、耳から脳味噌が飛び散らんばかりに頭を振った。
だめだ。このままじゃ……

「……仕掛け」
「あん?」「は?」

「色仕掛け大作戦を決行します」

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