半年以上一緒にいるが、こいつはいつだって突然だ。しかし今回の突然さは他に類を見ないレベル。理由を聞いても
「ハロウィンまでもう直ぐだしさぁ、前祝いってことで一つ!」とイマイチ確信を得ない返答だ。

「まあいいじゃないか相棒!」

スネイプを引っ掛ける為の悪戯をしかけながらジェームズは笑う。
「なまえのおかげで僕ら公然と悪戯が出来るわけだし。スニベルスもいじめられるし」
「そのスニベルスも今やウサちゃんだけどな」
「いやアレには笑わせてもらったよ」

くつくつ笑うジェームズ。俺は自分の頭の上についた動物の耳を撫でて眉を寄せた。公然と悪戯が出来るのは結構。シリウスも校内がひっくり返るように騒がしくなっていることを面白く感じていた。……ただ、

(何か胸騒ぎがすんだよな)

朝、なまえの様子に少し違和感を覚えた。
普段のあいつは早起きなんてしないし、昼休みに次の時間のテスト勉強なんて絶対しない。

「……」
「おいパットフッド、もっと隠れてくれないとヒバードに見つかるだろ」
「…………わりィ、ジェームズ、罠は一人で張ってくれ」

あのわけわかんねぇ香水の所為かもな。

「なまえを探してくる」

ジェームズの呼び声を背中に聞いて俺は中庭を飛び出した。
―――あいつを見つけろと、動物的な勘が働いた気がした。
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