私は彼のネクタイを離し、談話室を見渡した。バチッと目が合った瞬間背を向けた彼に向かって猛突進する。

「会いたかったよレギュラッスーン!!」
「ちょ、名前呼ばないでください離れてください知り合いと思われたくないです切実に。」
「さ、おねえさんと一緒に勉強しよう!」
「嫌ですよ。ネクタイ掴んで睨み合う集団に混ざりたくないです。」
「あ、結構前から見てたのね」

私は部屋着姿のレギュラスの腕を掴んでテーブルの方へ連れてきた。
その際、突っ立っているグラスとスパニエルは押し退けて進む。(レギュラスは律儀にもその二人に頭を下げていたけど)

「あ、ルシウス先輩……」
「レギュラスか」
「…先輩、少しやつれましたか?」
「こいつが中々物覚えが悪くてな。」
「…」

レギュラスの目には、疲れた溜息を落としてコーヒーに口をつけるルシウスがとても疲労痕倍しているように見えた。(ルシウス先輩の荷が少しでも軽くなるなら…)

「…仕方ありませんね。」
「よっし!」
「その代り、ふざけてたらすぐお終いにしちゃいますからね」
「はーい」

ガチャ

談話室の扉が開き、図書室帰りと思しきセブルスが姿を現した。
「あ。セブ」
なまえの声を耳にしたセブルスは、本から顔を上げてテーブルに近付く。なまえがスリザリンの談話室にいることについては、特に疑問を抱いていないらしい。

ルシウスに頭を下げると、自然な動作で彼女の隣に腰かけて羊皮紙を覗いた。


「相変わらず汚い字だな」
「うっせ!…あ、そうだ!セブルスも一緒に勉強しよう。明日テストだよ」
「知ってる」

分かってはいたが、セブルスからは彼らと同じような反応はいただけないようだ。

「僕はお前とは違って抜かりないからな」
「じゃあ教えて」
「何で僕が」
「この前の教え方、すごい解りやすかったから」
「…」
セブルスは前のソファに座るレギュラスとルシウスを見た。

「この二人がいるのに僕が必要か」
「「ぜひ。」」
声をそろえるルシウスとレギュラス。
「なまえの間抜け加減をあまり甘く見てはいけないぞ。セブルス」

言い過ぎだこのやろう!とキレそうになったが、よく見るとこのメンツはオールスターだ。彼らに教えを乞えばテストなんて楽勝すぎて屁がでちゃうぜ!

わたしってやっぱり頭いい。



(ところでセブルス、こいつがココに居る事に驚いていないようだが)
(ええ。……ルシウス先輩はご存じないでしょうが、実はこいつ何回かここへ忍び込んできてるんです)(は?)
(しかもわりと堂々と。…なので、特に驚きは)
(…そうか)
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