「いくらなまえの頼みでも嫌よ私、ポッターと写真を撮るなんて」
「やっぱりね」
ドンマイジェームズ。
ソファの陰からこちらを伺っているジェームズ達に見えるように後ろにまわした手でバツを作った。

「大体、どうしてそんな事になったの?」
「私…どうしても空を飛んでみたくて。リリーとの2ショットを交換条件に、あのもじゃに飛行術を……」
「まあ、呆れた」
「う…ごめんなさい」

しょんぼり俯く私の前で溜息を吐いたリリー。
「嫌いになっちゃいやだ」
言えば、くすっと微笑まれた。

「ならないわよ。バカね」
「リ、リリー」
「なるとしたら、交換条件出さないと教えてくれない不親切なポッターだわ」
「それは違う!」
突然入ってきたジェームズ。
こっそり見守る大作戦は言わずもがな失敗だ。

「僕はとっても親切で紳士的な男だよ、リリー」
「あら?それはどうかしらね」
ジェームズの突然の登場にも慣れきったご様子のリリー。
「信じらえないなら一度僕と、その、デートでも行ってみれば分かるんじゃないかな」
「遠慮するわ。親切なボーイフレンドなら他にいるもの」

驚愕するジェームズの脇をリーマスが通りがかった。

「あらリーマス、今日は図書館へ行った?」
「やあリリー。これからだよ」
「じゃあ後で私も一緒に行っていいかしら。課題の参考資料を探したいの」
「もちろん。あ、そうだパッドフット」

リーマスは私の横で事の成り行きを伺っていたシリウスに声をかけた。

「君が気になってたハッフルパフの女の子、さっき廊下で話す機会があってね…君の話をしたら今度話してみたいって」
「マジかよ!でかしたリーマス!」
「それと、なまえにジェームズ、天文学の宿題写し終わったらチャールズに回してくれる?彼課題が重なってて大変らしいんだ」
「わ、わかった。…リーマスどこいくの?」

暖炉の前のテーブルに置いてあったカゴの中からキャンディをひとつ取り上げたリーマスは肩をすくめて笑った。

「ピーターを探しにね。リウィッチ先生からの言伝があるんだ」
「そうなんだ…手伝おうか?」
「ありがとう、でも平気だよ。いる場所は大体わかるし」

じゃあ皆また後で。物腰柔らかに去っていくリーマスを見届けて、ジェームズががくりと膝をついた。

「…完敗。」
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