「ねえジェームズ、あのさぁ、あのさぁ」
私は人差し指をつんつん突き合わせながら、パンケーキにがぶりとカジリつくジェームズを上目遣いで見上げた。ジェームズはこれ以上ないってくらい不可解なものを見る目で私を見てきたけど気にしない。

「ちょおっとお願いがあるんだけどね、あのね、あたしにね、箒の乗り方教えろゴラァ!」
「怖い!!!急変にも程があるよちょっと!」
「なまえ、その顔止めてくれる?ピーターが泣き出しそうだ」
「あ、ごめピーター…」

私の顔そんなに怖かったか。
地味に傷つきました。


「それで?どうして今更箒の練習なんてするんだい」
「あー箒乗りたいなってこの前しみじみ思ったの。……ああああ乗りたいよぉぉ箒乗ってみたいようおうおう」
「分かったから取りあえず黙れ」
「ほら、スリザリンテーブルからマルフォイがスゴイ形相でこっち見てるぞ」
「ほんとだ。手をふってみよう……シカトされた」
「君ってルシウス・マルフォイの何なんだい?親しいって噂だけどまさか」
「あー……遠い親戚かな。シカトされたけど」
「気にしないで、ほら、チョコレートをあげよう」
「ありがとうリーマス…あなたって素敵な人だね」

リーマスの優しさに身を打ち震わせていると、隣のメガネが突然ふふんと鼻を鳴らして立ち上がった。


「この歴代最強シーカーと謳われるこの僕から直々に箒のいろはを教えてほしいって!?そんなの」
「別に謳われてないよジェームズ」
「勘違いも甚だしいぜ」
「あと…いろはって古いよジェームズ」
「ご学友お3方からの辛辣な評定にジェームズ・ポッター選手ダーウウン!!!」


テーブルに突っ伏してウジウジし始めたジェームズに、リーマスがチョコレートを与えている。「き、きみ何て素敵な奴なんだ」「そんなことないよ」これが飴…じゃないや、チョコレートと鞭の正しい使い方だ。
リーマスのおかげで折れた心を立て直したジェームズ。

「何か報酬はあるんだろうね?」
私はジェームズの耳に口を寄せた。
「ごにょにょ」「よし、教えてあげようじゃないか!さっそく今からでも!ほら行こうなまえ」
「どんな心境の変化だよ!!」

シリウスが目を剥いて言ったが、ジェームズはふんふんと鼻歌を歌いながら私の腕をひいて立ち上がった

「じゃあ諸君!また後でな」
「うぁあー!ジェ、おま、私まだ途中」
「いいから来るんだ!飛行術はとっても奥が深いからね、さーがんばるぞー」
「マ、マイ朝ごはんんんん」


ずりずり引きずられていくなまえを見送りながら、ピーターはぽつりと呟いた。

「…報酬、何て言ったんだろう」
「リリー関係だろうね。たぶん」
「エバンスと2ショット撮らせてあげる、とかじゃねぇの?」
「まさか。それなら彼女の許可も必要だし……難易度高すぎない?」
「だよなァ」
「二人が帰ってきたら聞こう」
「ああ」


(ねえなまえ、約束だろうね!2ショットだよ!彼女と僕以外写真に写っていない状態の事だよ!?可能なんだろうね!)
(しつこいメガネ!あたしにできないことはなーい!)
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