「んあ…?」
「やっと起きたか」

視点が定まらないから1、2度瞬きをしてみた。目の前にはシリウスがいた。……?どういう状況だろうかこれは。私寮の扉の前で睡眠スタイルに入ってからの記憶が一切ないんだけど。あたりまえか。だって睡眠スタイルに入っていたんだから!…あ。


「…もしかして、運んでくれたの?」
「レ、レディが迷惑してたんだよ。だから仕方なく運んでやったんだ!」

一瞬ぽかんとしたなまえだったが、次の瞬間には血相を変えてシリウスにつかみかかった。

「だめだよシリウス!」
「ダ、ダメって何が!」
「ツンデレは蛇寮の極意なんだから!」
「それ鬼の形相で言うこと!?」

シリウスの糾弾も無視して、なまえは身振り手振りしながら続ける。

「今のってもはや泥棒だからね!泥棒はダメだよ!そりゃあシリウスがツンデレれば胸ときめかせる女の子はこの世には五万といるだろうけどでも人のキュンポイント奪うなんてサイテーの行為だからね!顔がよけりゃ何したっていいと思うなよこのイケメン詐欺師が!」
「お前いったい何言ってんだ!」

「おや?少し見ない間に、君ら仲良くなったようだけど」

ニヤニヤした眼鏡が現れた。ところが

「ほっぺた腫れてるけど、どしたの?」
「ちょっとリリーに殴られただけさ!なーんにも心配ないからね」
「誰も心配なんてしてねェよ」
「おいおいパッドフッド、それは酷いんじゃないか?何したんだくらい聞いてくれても」
「何したんだ」
「ためしに抱き着いてみた」
「ゲス野郎だな!」

全くもってその通りだと思ったところで、談話室にピーターとリーマスが入ってきた。

「あ、ふたりとも。遅かったね?」
「やあなまえ」
「二人で図書室に寄ってきたんだ、リーマスが、調べ物があるって言うから」
「ホグワーツの図書館かぁ」

今度私も一緒に行っていい?と尋ねると二人はもちろんと笑顔で頷いてくれた。…やーばい!親世代さいこー!


「それよりなまえ、明日クディッチの試合があるんだけど、もし良かったら君も」
「うん行く」
「決断はや!」
「だって実は一回見てみたかったんだもん」

サッカーとか野球とかの非じゃないくらい面白いんだろうし(まあ、その分危険度はアレだけど)ずっと見てみたかったのだ。
決断はや!とツッコミを入れたジェームズだったが、私がそう言うとフフンと鼻を高くして見せた。

「僕が大活躍する所、ちゃんと見といてね!当然リリーも誘ってくるんだよ?ねえなまえ聞いてるかい?」
「それでね。私が前住んでたところにはこの位の大きさの飴ちゃんがさ」
「なまえそれ本当!?」
「こいつ一瞬でリーマスの心を…」
「聞いてるのって聞いてるの!僕はリリーが来てくれたらいつもの5倍…いや10倍は力が出せるんだけどなぁ」
「でも友達のお姉さんが作る料理が酷くてさ…色からしてもう毒々しいんだけどね」
「なまえの住んでたところってどのへんだい?東洋人、だよね?」
「和の国日本!ジャパニーズ、だよ!」
「あ、僕聞いたことある」
「マグルの国だろ。たしか…何だっけアレ、……ああ!」

三人は顔を見合わせ声をそろえた。

「「スモウ!!」」」
「日本の印象それかい!」
「リリー!!」
「お前は本当うっさいジェームズ」

クディッチ観戦に行くことにしました
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