「ぐひゃーひゃーひゃ、ちょ、だめだってランボそりゃ………飴じゃなくてドラゴンボール、ぶひゃ」

さっきの涙は一体何だったんだ俺の見間違いか俺の優しさが生んだ幻覚なんだなそうなんだな、チクショー、だまされた!
シリウスは向かいのソファでいびきをかいているなまえを見たくないとでも言うように頭を抱え、ひたすらに自分をなだめていた。

「…ありえねェ」

何があり得ないって、この女の笑い方から寝言のでかさから寝相の悪さから、何から何まで全てだ!
心の中の糾弾と同時に、ソファに乗っていたなまえの上体が傾いだ、そこからは、もう、止める間もなく落ちた。床に後頭部をしたたかに打ちつける様は、近くにいた後輩のグリフィンドール生を驚愕させる程だ。

「…」
「…」
「…」
「…オイ」

むくっ

「ルシウス、パンケーキ……まだ」

パタ

虚ろな瞳でそれだけ言って、なまえの瞼は再び閉ざされた。しかも床で寝てる。何なんだよホント、こいつ!何なんだ何なんだ、



「……っく」

シリウスは耐えきれずに吹き出した。――ルシウス、パンケーキまだ?そう言ったか。こいつ、あのルシウスにそんなこと頼んでたのか。
通りすがる何人かが腹を抱えて笑うシリウスを不思議そうに見た。それに気付いても、シリウスはまだ笑い続けていた。
今まで警戒していなのがバカみたいだ。

やがて存分に笑い尽くすと、ゆっくり深呼吸したシリウスは改めてなまえを見た。

「…おもしれーやつ」

こいつは確かに、ジェームズの言うように面白い奴なのかもしれない。シリウスはそんなふうに思って表情を和らげ、なまえにそっと自分のローブをかけてあげたのであった。

夢中の彼女と、和解
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