「徳川、」
「なんだ?毛利」
「貴様は…」




「貴様と似たあれを知っているか?」




I go to meet you!





「…は?」


聞き返してしまうのも仕方ない言葉だったと思う。
毛利と知り合ってもうすぐ1年になるが、コイツはいつだって話が唐突だ。
変わらない無表情が淡々と言葉を紡ぐ。



「貴様のようなあれぞ。だが日輪ではない」
「ちょっと待ってくれ、何の話だ?」
「我はそれを見つけたい」



駄目だ、話が通じない。
そんなこと今に始まったことじゃないだろなんて言われてしまえば確かにそうだけれども。
大体、ワシのようなあれとやらが何なのかさえ解らないのだ。


毛利は、高校の入学式で仲良く(?)なった。
といっても、ワシが一方的に話しかけていただけだったりした。
冷たい瞳は誰をも寄せ付けなくてそんな小さな背中が放っておけなかったからだ。
周りからみたらワシらは何の変化もないかもしれないが、確かに良い方に変化はある。
相槌はうってくれなくとも、人の話をしっかり聞いているとか。
野良猫がなついたようで嬉しいが、ワシは野良猫じゃない、この気持ちをどこかで。




「海の匂いがする、大きな、不快で、なのに必要不可欠な。」
「うーん、難しいなあ」
「夢に、居るのだ」




確かに我の名を呼ぶその掠れた声が懐かしくて堪らない。
ぼんやりとしか思い出せないそれはまるで海の泡に包まれ、身を捕らわれたような。



「そんな男」
「…会いたい、な」



何に会いたいのかなんて解らないが、不意に言葉が口をついた。


会いたい会いたい会いたい。
あの銀髪を撫でたい。
純粋過ぎる瞳を見つめたい。
不器用な心に触れて、今度こそ二人で歩みたい。
したかったこと、されたかったことをして、笑顔で。



何も解らないのに、ただ漠然と会いたいと思う。
ソイツはどこか毛利に似ていた。似て非なるものだが。





「なあ、毛利」
「なんぞ」
「…探しにいこうか」
「は?」



今度は毛利が小さく口を開け、目を丸くする。
そりゃあそうだ、姿形がほとんど解らないものを探そうなど。
戯れ言をほざくな、と。
そう言うんだろう?なあ××。



「海の匂いに、真っ直ぐな瞳を」
「…フン、良かろう」



まさかあの毛利がこんな下らないことについてくるとは思わなかった。
だけど、きっと毛利も同じなんだろう。






「直ぐに会える確信があるんだ!」






I go to meet you!


いつでも
どこからでも
きっと君を見つけ出すよ


だから会えたら、
また僕に愛してると笑ってください。