02
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「わぁ……!!」



大きな門。
賑わう城下町。
その奥にそびえ立つ豪勢なお城。
全て森にはないもの。
リンクは目を輝かせた。



「アンタはこれからどーするだーよ?」
「お姫様に会いに行くんだ!あ、でも……」



ちらりと少女の方を見る。
彼女を放って置いて姫に会いに行ってもいいのだろうか。



「その嬢ちゃんの事を心配してるならオラに任せるだーよ。知り合いの宿屋で寝かせとくだ」
「大丈夫?」
「大丈夫だーよ。でも後で会いに行ってやるだーよ」
「わかった!ありがとう!」
 

 
笑顔で礼を言う。
さぁ、自分の用を早く済ませて宿に行かなくては。
そう思い、城の方へ足を進めた────
 
 
 
 
 
 
「中に入りたいだ?」
「うん!」
「そうか……まぁ通してやらんこともない。その代わり──」
 

 
門番をしている兵士は手を差し出し、"10ルピー払え"と言った。
子供であるリンクにとって10ルピーは大金。
しかしゼルダ姫に会わなければいけない、それならこれくらい……。
こっそり侵入するより門から堂々と行った方がいいだろう。
 

 
「はい、10ルピー」
「確かに受け取った。こっそり通してやる……こっそりな」
 
 

こっそりと。そう念を押され門が開く。
見つかったら追い出されるのだろう。
そしたら先程支払った10ルピーが無駄になってしまう。
見つからないよう、気を引き締めて進もう。
 
兵士の目を掻い潜り、奥へ奥へと進んで行く。
正面の門は閉ざされ、その前には2人の兵士。
 
 
 
「これじゃあ先に進めないヨ……」
「うーん……あ!」
「何か見つけたノ?」
「あのツタを登ったら兵士に見つかること無く行けるかもしれない。ナビィ、あの先に兵士がいないか確認してきてくれる?」
「任せて!」
 
 
 
そう言ってナビィは偵察へ。
案外すぐ戻ってきたナビィは"大丈夫そう"と言った。
ツタを握り、登っていく。
登った先には崖。
高さはそれ程ない為、軽々と飛び降りる。
城内まであと少し。
だが橋は閉ざされ、数m先には兵士。
道はないかと探すが、あるのは水の流れる堀のみ。
 
 

「(行くしかないか……)」
 
 
 
こっそり、堀に入る。
そのまま泳いで兵士の目をかいくぐり、岸へ。
左へ曲がると木箱と扉。
扉に手を掛けるが鍵が掛かっており、開きそうにない。
あと行けそうな所は子供1人、ギリギリ通れそうなくらいの水路。
木箱を動かし、水路まで飛ぶ。

服が水浸しになったが関係ない。堀に潜った時点で服はずぶ濡れだ。
水路の先は庭。
そこでも数名の兵士が巡回していた。
 
 
 
「(ザル警備だなぁ〜。簡単に抜けれちゃう)」
 
 
 
ここまで来る時と同様、軽々と警備を抜く。
城の警備がこんな物でいいのだろうかと不安になる。何せ子供1人に抜けられるのだから。

先に進むと中庭に出た。
とても広い庭に少女が1人、窓から中を覗いていた。
彼女がゼルダ姫だろうか?
恐る恐る話し掛けると、少女は驚きこちらを見た。
 
 
 
「だ、誰?あ、貴方は誰なの……?どうやってこんな所まで……」
「あの、オレは──」
「あら……?それは……」
 
 
 
ふと少女がナビィに目を止める。

 
 
「妖精!?それじゃ貴方……森から来た人なの?」
「う、うん。コキリの森から来たよ」
「それなら……森の精霊石を持っていませんか?緑色のキラキラした石……」

 
 
 
森の精霊石──コキリの翡翠。
デクの樹サマから預かった緑色の綺麗な石だ。
これをゼルダ姫に届ける為、わざわざ森から遠く離れたこのハイラル城まで来たのだ。
素直に持っていると答えると、少女は"やっぱり!"と嬉しそうに笑った。
 
 
 
「私、夢を見たのです。このハイラルが真っ黒な雲に覆われて、どんどん暗くなって行くのです……。その時、一筋の光が森から現れました。そしてその光は雲を切り裂き、大地を照らすと……妖精を連れて、緑に光る石を掲げた人の姿に変わったのです」
 
 
 
それが、彼女の見た夢のお告げ。
恐らく妖精を連れ、緑に光る石を掲げた人……それはリンクの事だろう。
彼女もそうだと確信を持っているようだ。
 
 
 
「あ……ごめんなさい!私夢中になってしまって……まだ名前もお教えしていませんでしたね。
私はゼルダ。このハイラルの王女……貴方の名前は?」
「オレは……リンク。コキリ族のリンクだよ」

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