2014年12月お題
2014/12/25 23:28
クリスマス、をお題にしました。
クリスマス終了一時間前に揃った奇跡の原稿、しかも珍しくお互い一発OK。
少し長めです。



恋人はサンタクロース

「メリークリスマース!!!」
帰宅と同時にクラッカーの派手な音と、ザックスの声がアンジールを出迎えた。
室内はやけにキラキラしている。
カーテンレールには金銀のモールが飾られ、観葉植物には赤いリボンや星のオーナメントが引っ掛けられていたり、色とりどりの電飾が光っている。
壁にはポインセチアやジンジャーマンなどのステッカーがべたべた貼られているし、窓ガラスにもクリスマスツリーや雪の結晶、ベルの形のジェルステッカーが所狭しと貼られている。
呆気に取られた表情のアンジールに、赤いサンタ帽子とサンタコスチューム、白い付け髭をつけたザックスがニコニコ笑いかける。手にカラフルな三角帽子を持っているのは、アンジールにかぶせたいのかもしれない。

「………ずいぶん飾り付けたな」
「すごいっしょ!?驚いた?」
「ああ、驚いた。後片付けも一人でやれよ」
「ぐはっ……っていうか後片付けの話より飯!食お!デリばっかだけど、いっぱい買ってきたからさ!ケーキも!」
「これだけ飾り付けてクリスマスディナーも用意して、プレゼントはないのか?」
「えー?プレゼントは寝てる間にサンタさんに貰うもんでしょ?」
ニヤリと笑うザックスに、アンジールは一目でザックスの意図を見抜いた。
「そうだな。今年一年イイ子だった子にだけ貰えるんだぞ?」
「知ってる。俺今年一年イイ子だったもん」
サンタコスプレで胸を張るザックスに、アンジールは少し意地悪な表情を浮かべて見せた。
「これは知ってるか?悪い子のところには黒サンタが来てお仕置きするんだぞ?」
「うっそ何それマジ?!」
「マジ、だ」
一転真顔になったザックスにアンジールは笑う。

年の近い親友たちはこういう催しをすることは無いし、まして一人では人の誕生日を祝う気にもならない。
本来はもっと荘厳なものだとしても、世の中のクリスマスは単純に夜でもきらびやかで賑やかなお祭りに過ぎない。
プレゼントを用意する。部屋を飾り付けて食事を用意する。自分ではない誰かのために。喜んでもらいたいという純粋な気持ちに、多少の下心。
一年で最もきらびやかな光。つまりその影は一年で最も濃く深い。
その深い闇に隠れて、恋人たちはプレゼントを交換しあうのだ。

「とりあえず飯を食うか。せっかく準備してくれたんだ、冷めてしまったら勿体無い」
「え、あ、うん!」
アンジールはザックスの手から三角帽子を奪い、ザックスのかぶるサンタ帽子と取り替えて自分の頭に赤いサンタ帽を乗せた。







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