「そうか。それで坂本の馬鹿は金欠だと」
根岸に逃げられたあの後、取り残されてしまった俺と坂本の妙な空間。俺はどうにも行き場のない腹立たしさを坂本の財布から万札を奪い、はぐらかしたのだった。
「てことで金あるんでしょ。パチらない?パチパチ。明日並んじゃおうぜ」
「てめえの金じゃない。俺の金だ」
「凄い自信有りげに言ってるけど、それ坂本の金だからね」
保健室は今日も校内から切り離された時間をマイペースに刻んでいた。白衣の胸ポケットに潜ませている自分の携帯に反応はない。根岸はいま何してるんだろうな。
つぎ