姉貴と兄貴4




「もらったぁ!」



この一撃は避けられない


そう確信していた天火は迷うことなく木刀を振るっていた













『甘いわね、天火』


「なっ!?」



天火が振るった木刀は宙に舞い、気づくと目の前には天華と、彼女の持つ木刀が突きつけられていた








いつも笑顔で優しい姉の思わぬ一面を知った空丸は衝撃のあまり声が出せなかった






「稽古と云うよりは完全に勝負だなこりゃぁ…だが、流石だな天華、あの状態から木刀を弾き返すとは驚きだ。天火も惜しかったがやっぱり実力差がついたな」

『ありがとうお父さん。天火、怪我はしてないよね?』

「ああ、てか何だよさっきの動き。姉ちゃん何でそんな強いんだよ」



若干不貞腐れながら答える天火に、天華は教える人が上手いからねと大湖の方を見ながら笑顔を見せた







「空丸どうだ?お前の姉ちゃんは兄ちゃんより強いんだぞ」


「姉ちゃん、すげぇ…おれ、つよくなりたい。兄ちゃんよりつよくなって姉ちゃんを助けるんだ」







そう、姉貴は本当に強かった


あの兄貴が手も足も出ないことに俺は衝撃を受けたんだ


親父から云われたあの言葉も覚えてる









「いつも笑顔でいる奴ほど内に抱えるものは大きい、か」


「なんのことッスか?」


「何でもねぇよ、お前もそのうち知るよ。姉貴がどれだけ強いのかをさ」




まだまだ俺は弱いし、護られてばかりだけど



必ず強くなって姉貴と兄貴を助けるから一一




























おまけ


曇家 夕食中






「兄貴さ、いくら姉貴が強いからってあの時木刀が当たってたらどうするつもりだったんだよ?」


「ブホォッ!!」


『ちょっ!天火汚い!』


「そ、空丸くん?お兄ちゃんの昔の古傷を抉っちゃいかんよ…、あの時はその…、俺もまだ幼かったと云うか一一一」


「女相手に全力で木刀を?天火、お前最低だな」


「し、白子までっ!俺だって今は後悔してんだよ!過去は変えられないんだからしょうがないじゃん!」


「姉貴が強くて良かったな、兄貴」


「天華許してくれ!!あの時の俺はまだガキだったんだよー!」


『?何の話?』






end


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