「……ナマエ、麺きり機を買ったり謎の香辛料を揃えたりするのは構わん」
「構わないんだ…」
「ただ謎の置物を増やすのはやめてくれ」

 やめてくれナマエ…可愛いアンティーク雑貨が埋め尽くす書斎を見て扉間さんがげんなりした表情になった。今まではちまちまと増えていた雑貨が、ちょっと五影会談で目を離したらその倍ぐらい増えましたからね。扉間さんも驚くでしょう…でもこの木彫り完成度高くないですか?

「だって殺風景だったから…ぬいぐるみぐらい置いたっていいじゃないですか」
「ワシがそんな趣味持っていると思われたらどうする」
「そんな扉間さんも素敵よ」
「……ナマエはワシをどうしたいんだ」

 理想の扉間像はホワイトな信頼できる頼もしい優しい上司だ。そんな上司は机の上に部下が出張で買ってきてくれた役に立たない置物を置いてくれる…わたしはそんな印象がある。っていうわけで木ノ葉の顔岩をイメージした木彫りのそれを置いてみたした。最近は里が発展してこのような土産物も見かける。誰が作って誰が売っているのかも謎…そもそも忍里のわりに開放的なのよね木ノ葉って。優れた結界や最強一族達が住まう里だから下手な城下町より発展した結果だろうか。防衛兵力もわたしの里とは比べ物にならない。
 扉間さんの机の上でかなりの完成度の柱間殿が鎮座している。顔岩なので生首にも見える。

「邪魔だ」
「こ…この人、自分の兄を躊躇いもなく捨てました!」

 掴んでクズかごに入れた。そりゃあもうあっさりとクズかごに入ってろ兄者!ってぽいっと捨てたのだ。

「これも邪魔だ…チッ、何故マダラがあるのにワシのフィギアな置いてないのだ」
「口寄せの術がテーマですから」

 机の上に並べられていた置物類を全てクズかごに放り投げる。分別なんて気にせず捨て続けるのだ。扉間さんが文句を言ったフィギアは口寄せの術をテーマにした可愛らしいちみっこいキャラのフィギアだった。

「ワシも口寄せの術ぐらいできるぞ」

 それって死者を玩ぶ卑劣な術のことですよね。確かに口寄せに分類される術なんだけど…だけど!
 可愛らしい二頭身にデフォルメされても死人を口寄せしたら可愛らしさ吹っ飛ぶ。死体侍らす扉間さんとか呪いの人形だ。心の中で悪態をつきながら、無造作にクズかごに入れられたごみ達を分別する。置物だから殆どが燃えないごみなんで、かごの中には木製の柱間殿の生首だけになった。怖い。

「だいぶ片付いたな」
「酷いわ……そんな性格だから口寄せ出来るのが死体なんですよ!外道!」
「ただ口寄せ動物と契約を結んでないだけだ」
「えっ?口寄せって友達だから口寄せ出来るんじゃないんですか?」
「友達と言うよりは……ハァ」

 だからこそ友達が居ない扉間さんは…ああ、でもそれじゃあ伝説になったうちはマダラさんは尾獣と友達ってことになる。口寄せの術ってどういうものだったか混乱してきたぞ。わたしは助けてヒーローって叫ぶとやって来てくれる友達のような存在だと思っていたけれど。
 「なら忍具の口寄せをする者は無機物と友達になるのか」そう扉間さんに突っ込みを入れられた後、彼は丁寧に口寄せの術について教えてくれた。わたしは本日より口寄せの術について正しい認識を持つことになった。千手扉間教室の授業にしては優しく教えてくれたと思う。

 なるほど。だから口寄せなのに穢土転生には生け贄が必要だったのか。死者の魂が対価無しにやってきたらホラーですものね。もし生け贄無しで来るのであれば正月には曾々々祖父さんぐらいまで遡ってやって来てほしい。お年玉目当てです。そのお年玉でペットショップへ赴き可愛い動物と……。

「でも、可愛い生き物を口寄せ動物には使いたくないですね。動物虐待はダメですよ。忍にも道徳心の問題はあります」
「ならワシの穢土転生は大丈夫だな。貴様は可愛くない」

 全っ然、大丈夫じゃありませんよ!?

「まあ、わたしは可愛い子というより美しい女性ってイメージだから?」
「そのポジティブな思想は褒めよう」

 さらっと可愛くない発言をされたので、可愛いのではなく美しい、つまりわたしは美人系だったと脳内変換をした。扉間さん本人にも褒められる思想で契約動物を考える。扉間教室の授業内容では、契約してくれる生き物はそうそう見つからないそうだ。けど考えるだけならいいよね。僕の考えた最強の口寄せ動物、みたいな妄想ぐらいまだ許される年齢だ。

「わたしが口寄せ契約をするなら蟹がいいですね」
「甲殻の防御力と鋏の攻撃力、泡よる洗浄も戦況によっては使い道がある。ナマエにしてはなかなか良いものを選ぶな」

「あ、いや鍋ができるなあって…」
「………口寄せ動物は非常食ではないぞ」

 扉間さんが帰って来たので今日は海鮮鍋にしました。蟹の出汁がきいて美味しくできたけれどわたしは食事不要なので扉間さんの一人鍋である。寂しい独身男性め。


空き時間に補修

  

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -