■ サイケデリックファクターズ

※ドフラミンゴの妹と




「やっほークロコちゃん」
「フッフッフッ、相変わらず陰気なツラしてんなァ鰐野郎」
「………テメェら揃ってくるんじゃねェ、頭が痛くなる」

 眩い原色が溢れ返っていた。
 ピンク。グリーン。オレンジ。イエロー。パープル。
 目の前の兄妹のせいである。
 相変わらずピンクの羽根コートにオレンジのサングラスとパンツ姿のドフラミンゴ。グリーンのタンクトップにイエローのマイクロミニ、その上にパープルのショートボレロを羽織っている※※※。
 全く、酷い色彩感覚だ。

「ほらァ、兄貴ついてくるからクロコちゃんに怒られたー」
「おい誰の船で来たと思ってんだ」
「兄貴に送ってもらわなくても来られるもん」
「いい歳こいて“もん”とか言ってんじゃねェよ」
「いい歳の癖にいつまでもシスコン引き摺らないでよキモい」
「ア? 何だとテメェ」

 口喧嘩をしながらも、二人の距離はいやに近い。まるで恋人の位置感だ。ドフラミンゴの腕は※※※の細い腰に回され、※※※は前のめりのドフラミンゴの胸板に後頭部を預けている。
 クロコダイルが眉を顰めたのは、しかし二人の近さ故ではない。あくまでもその斜め上方向にすっ飛んだ二人の色のせいである。

「喧嘩しにきたんなら帰れ馬鹿ども。煩ェ」
「やだァ構ってクロコちゃァん」
「そうだそうだ構えよ鰐ヤロー」
「はぁ……」

 頭を抱える。本気で頭痛がした。
 全くなんて奴等だ。咥えた葉巻をへし折りそうになりながら、クロコダイルは嘆息する。この兄にしてこの妹ありである。堪ったものではない。
 無理矢理にでも帰したいが、この二人を腕尽くで排除するのは不可能だ。現に部下たちは簡単に突破されてしまっている。

「ねーイイコトしよ?」
「馬鹿言え」
「そうだぞ兄貴の目の前で」
「あっ、ねぇねぇそういえば私今日ブラつけてんの!珍しいっしょ!見たくない?」
「………ほう?」
「えっ、ちょ、おいこらテメェら兄貴の目の前で!」
「やだァ見ないでよオニイチャンのえっちー」
「…まだいたのかドフラミンゴ君。お帰り頂いて結構だ」
「はぁ?! いい加減にしろよ終いにゃ泣くぞ?!」
「勝手にしたまえ、俺はこいつを啼かすのに忙しいんでな」
「もう、クロコちゃんったら……ぁんっ」
「ああああ聞きたくねぇ聞いてねェ可愛い可愛い妹の雌声なんて俺は断じて!聞いてねェ!畜生覚えてやがれ!!」







お兄ちゃんは過保護で兄馬鹿。

15.04.08

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