□1.出会い
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いつも通りの日常を送るはずだった。
学校に行って、授業を受けて、部活をして、潔ちゃんと一緒に帰って、ちょっと寄り道で買い物したりして。
そんな、ありふれたいつも通りの一日を過ごすはず、だった……のに。
なんで、私は空を見上げているんだろう。
なんで、こんなに息が苦しいんだろう。
なんで、体中がこんなに痛いんだろう。
なんで。なんで。なんで。
なんで……。
――体が、どんどん冷たくなってるんだろう。
こわい。こわいよ。
誰か、助けて。
遠くから救急車のサイレンが鳴る音をぼんやりと聞きながら、痛む体をなんとか動かそうと首を横に向けた。
視界に映るのは舗装された地面と、青ざめた顔でこちらを見つめるたくさんの人たち。
ふと、その中にいる一人の男の子と目が合った。
周りの人たちも顔色は悪かったが、その男の子はそのまま倒れてしまうんじゃないかと思うくらいに顔が青くなっていた。その表情が自分の今の状態の酷さを物語っている。
どうやら、私は死ぬらしい。
それだけはわかった。
死ぬことを実感した今、不思議と恐怖心はなくなっていた。
勿論心残りがないわけではない。でも、自分ではもうどうにもならないことだった。
段々と視界が暗くなっていく。
そして、それはやがて暗闇に閉ざされた。
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