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轟焦凍の独白





明日は妹の命日だ。

俺には双子の妹がいた。
妹は明るくて人懐っこくて誰からも可愛がられる奴だった。
何をするのも一緒だった。
遊ぶ事も、食べる事も、寝ることも。
俺よりもずっとしっかりた奴で、「どっちが上なのかわからないね」てお母さんに良くいわれた。
大好きだった。
大切だった。
ずっと一緒にいると思ってた。


ずっと


あいつは、生まれつき体が弱かった。
個性が出る前から、医者に心臓が耐えられるかわからないって言われてて。
個性が出てからは良く入退院を繰り返して、お母さん達とよく見舞いに行ってた。
親父は一度も来なかった。
初めて医者に言われてから、あいつにとって妹は価値のないものと判断されたんだと思う。
妹は親父が来ないことに何も言わなかった。
ヒーローはお仕事が忙しいからしょうがないね、てそう笑ってた。
本当は全部わかってたんだと思う。
親父に見捨てられたんだって。
でもあいつは、親父を嫌わなかった、ヒーローの中で一番好きだって言ってた。
オールマイトよりも何よりも。
信じられないだろ。


6歳のころ妹が死んだ。


10年前の事件覚えてるか?
ヴィランにによるあらゆる施設への同時多発テロと襲撃事件。
ついに全面戦争かとかニュースでやってたよな。
オールマイトや、たくさんのヒーローのおかげで、被害は限りなく抑えることができたって言ってた。
でも限りなく抑えた被害の中に妹が居た。
あいつ、心臓の手術でいつもと違うちょっと離れた病院にいたんだ。
そこが襲撃された、
他に優先して守るべき施設があったから、ヒーローの到着が間に合わなかった。
よく覚えてる。
夜中に電話が来て、お母さんたちと一緒に慌てて病院があったところに行ったんだ。
もう一面瓦礫の山で、俺は夢か何か見てるんじゃねぇかて思った。
その日妹は見つからなかった。
あいつが家に返ってきたのはそれから2日たったころだ。
右の手の指だけ返ってきた。
それからのことは、よく覚えてねぇ、

ただ

空が黒かった事
お母さんが達が泣いてた事
黒い服の大人が沢山うちに来た事
妹に二度と会えないとわかった事

それだけは覚えてる。



おれ達家族は、別にヒーローを恨んではいない。
皆死ぬ気で、戦ったんだ。
どうしても、届かなかった。
さらに向こうのその先でも届かなかったんだ。
どうしようもなかったんだ、誰も悪くない。


ただ叶うなら




もう一度凪にあいたい。


もう凪の声が思い出せない