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7


たった三十秒
あいつが告げるあの人達に残された時間だという。
口さえ空いていれば火が出せる、この口枷を何とか外すべく体を起こすと、鼻の人に向く銃が見える。
「30秒もいらねェよ今助けるぞ!!!必殺火炎…」
「そよ風息爆弾!!!」
とっさに体で突き飛ばすが勢いが足りずに私と鼻の人は爆撃くらいそのまま地面にたおれる。
「ウソップ!!竜!!!」
「勝機もないと聞こえなかったか?それにしてもあのガキ、あのまま気絶しとけばいいものを」
「キャハハハハハハ、でもこれで動けないでしょ」
ここで倒れてるわけにはいかないと体を起こそうとした時、
―パキッ―
首の後ろ側で小さく音がした、今の衝撃で枷にヒビがはいったのだと悟る。
「クエ―」
私たちを心配そうにのぞき込んできた鳥と目が合う。
彼は私の言いたいことが分かったかのように一声小さく鳴くと嘴で枷をつつきだす。
パキリパキリとどんどんヒビが入っていく音がし、そしてゴトッと口枷が外れた。
「おきて、おきて」
久しぶりに出した声は酷くかすれていてる、けれど声が届いたのか鼻の人が気が付いた。
「しゃべれるのか」
あいつらに気が付かれないように小さく頷く、きっとあの人たちを助ける最後のチャンスだばれるわけにはいかない。
「すこしだけ、私、火だす、行く、あそこ」
人の言葉を話すのは難しかったが私のやりたいことは通じたようだった。
「……!!火が出せるのか、よしわかった着火は何とかする!カルーにその鳥につかまれ、カルー…いいかこのロープを」
鼻の人が鳥、カルーにロープを結んでいる間に、背中に静かにつかまる。羽のあたたかな感触が手に伝わって、自分の手が冷たくなっていたのに気づく。
ふわりと黄色い女がそばに降り立った。
「何を企んでいるの?私にも聞かせてくれない?」
「頼むぞカルーッ!!!」
その声を合図にカルーは彫像へ縦横無尽に走り出す。そのまま彫像に登っていく。背後から銃声と一緒に見えない弾飛んでくる。あまりの速さで振り落とされないように首にしがみ付いた。
「クエ―!!!!!グエー!!!!!」
攻撃の恐怖からかカルーはさらに走る速度を上げる。
下を見ると今だ戦う男と帽子の人の姿が見えた。
「フハハハハ!!諦めろ諦めろ!!奴らは私の美術作品になったのだ!!!!それにあの爬虫類はBWのもの!!!」
「ふん!!そんなもんにさせるか!!あいつらの命はお前なんかにやらねェよ!!!あの竜はおれがもらう!」
帽子の人があいつの頭をとらえるとそのまま彫像に向かって走ってくる。
「火で溶けるんなら…!!!この火を使って溶かしてやる!!」
「ルフィ!!!…そんな小せェ火じゃ間に合わねェ!!カルーのロープに火をつけろ!!!」
カルーが引いて走っていたロープには油がしみていた、そしてそのロープは今彫像の全体に行き渡っている。無知でバカな私にもこの意味が分かった。
「わかった!!よし!!!みんな起きろォ!!!」
「ちょっと熱ィが我慢してくれっ!!!着火はした!頼んだぞ竜ー!!!」
私はカルーの背から飛んだ。方法は体に染みついている、息を深く吸うお腹の奥に熱が生まれるのを感じる。
頭の中でじじ様の言葉がよみがえった。

「なんで、助けたのかだって?それはだな、覚えていないか?初めてお前を見つけた時、開口一番に火を噴いたんだ。蛍火みたいに小さい火だったんだけれど、それがとてもとても奇麗だった。だから何としても助けないとって全員が思ったんだ。それに見てみたいと思った、いつかその火が大きく燃え盛るのを、まるで聖火のように美しく燃えるのを。」

口から吐き出す火とロープについていた火が合わさり彫像が燃える、その炎は赤色ではなく、白と黄色が混じったようで自分でもきれいだと思ってしまった。

だからお前の幼名に使っているはフランマかイグニスなんだよと頭をなでるじじ様顔をよく覚えている