×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -







48


「せんちょーせんちょー、お空の島だって!」
「空に海があるんだってよ!楽しみだなァ!冒険の匂いがプンプンだ!」
「プンプンだ!」
わぁいとルフィとシロ達は大はしゃぎの様子で木片から木片へと飛び移る。海に浮かぶガレオン船の残骸の間を何か面白いものはないかと探検をしている彼らの頭の中は空島という言葉で埋め尽くされていた。
「2人共あんま奥に行くなよ、もうすぐこの船沈むぞ」
監視役としているウソップの言葉の通りに船は徐々に深海に身を潜めようとしており。シロの靴が入り込んできた海水を蹴り上げる。その拍子に飛び散った飛沫が部屋であった場所に置かれた箱にあたる。
「何だこれ?」
それは人一人が入りそうなほどの大きな木箱だった。何かお宝かと開けようとしたが釘が打ち込まれており簡単には開かない。空を航海していた船にあるものだきっと素敵なものに違いないとシロはそれを持ち帰ることにした。
「せんちょー!いいもの見つけた!」
「何だ!お宝か!」
「開かないからわかんない!」
ルフィが意気揚々にその木箱を持ち上げると、ガサガサガチャガチャと質量がある物が動く音がした。空島のお宝が入っているかもしれないとシロ達は、より一層目を輝かせメリー号へと戻る。
「ナミちゃんナミちゃん!お宝あった!」
「空島のお宝だァ!」
やったやったと大興奮でメリー号に帰ってきた二人は早速甲板でその木箱の開封に取り掛かる。打ち付けられていた釘が取り除かれて蓋が開く。
ナミもシロ達の様子にもしや本当に空島のお宝かもと箱を覗き込んだ。蓋が開けられ中の物が太陽に照らされる。彼女の目に写ったのは白い物体。それが何か瞬時に理解できた。

「棺桶ね」

ロビンの冷静な一言と同時にメリー号に大絶叫が響き渡った。



「だってだってお宝だと思ったんだもん」
「だってよ、面白れェもんだと思ったんだよ」
冒険の匂いがしたんだと声を揃えるシロ達は頭にたんこぶをこさえて鼻を啜る。理由はもちろんあの木箱だ。大目玉を食らった二人は甲板に正座させられ渾々とナミに説教をされいている。
「宝だと思って覗き込んだら骸骨と目があったのよ!こっちは心臓が飛び出るかと思ったわ!」
ナミは背後を指差した。そこには二人が持ち帰ってきた木箱、基棺桶があり。その中には一体の人骨が収まっているだけだったのだ。
彼女の様子にごめんなさいとシロは肩を落とした。

「航海士さんそんなに怒らないであげて、船長さんもおチビちゃんもお手柄よ」
これには情報が詰まっていると復元を終えた頭蓋骨をロビンは撫でた。頭部の穴は昔の医術療法。歯塗られたタールはこの骨の故郷の風習で一部地域のものに限られている。あれほどの大きなガレオン船はそうそうない事から何か文献が載っているはずと開いた書物のページを捲るとそこには落ちてきたものと瓜二つの写真が掲載されいていた。
「この船は少なくとも200年は空を漂っていたことになる」
「骨だけでそんな事まで割り出せるの……?」
たった一つの骨からそこまでの情報を導き出したロビンにナミは驚きを隠せない。わかるのはここまでと彼女は骨を棺桶に収める。ロビンが掴んだ情報はガレオン船の年代とこの人物の死因だけで、空島への手がかりではなかった。
記録か日誌などがあれば良かったと沈んだ場所を見るがそこにはもう船の姿形はなく。水平線が広がるばかりだ。
「船長さん達、他に何か見つけてないかしら?」
本とか何か書かれたものはなかったと言われてシロは、あっ!と声をあげる。拾った存在をすっかり忘れていたとポケットに入れていた羊皮紙を取り出してナミ達に広げて見せる。
さっき拾ったと言うシロの手には海の代わりに雲が描かれた海図。
「スカイピア?……てこれ空島の地図!?」
「空島の地図だ!ウソップ!チョッパー!シロが空島の地図を見つけたぞぉ!夢の島に行けるぞ夢の島!!!」
俺たち空に行けるんだとルフィ達はシロを抱えあげ、大手柄だとシロを揉みくちゃに撫でくりまわす。だが喜ぶのはまだ早い。この地図は本物という保証はできないし、この島への行き方はわからずじまいなのだ。
進んでいるようで進んでいない事態に拉致が開かないとナミは何としてでも情報を手に入れる為ある方法を提案した。
「沈んだんならサルベージするよっ!!」
「「サルベージ?」」
「沈没した船をあげる作業の事よ……。でもあのガレオン船は大きすぎるから無理ね。」



早々にサルベージを諦めた彼らは次に手段に移る事にした。持ち上げられないのならばこちらから出向くまでとウソップが設計した即席の空気ポンプとホースに繋がれた樽型の潜水着が三つ海底へと沈んでいく。
ここはグランドラインの海。海中でなにが潜んでいるかもわからない為にルフィ、ゾロ、サンジと腕の立つ彼等が強制的に選出されていた。
「いいなぁ、私も行きたかったな。」
「あれはアンタには大きすぎるから、また次の機会にしなさい」
「こんな機会はもう無い方がいいけどな」
どんどんと小さくなっていく彼らの様子をシロは羨ましそう見ている。好奇心が旺盛な彼女にとって海中もまた空と同じに魅力的な場所のようだ。
酸素を送る管からは海中のルフィ達の声が聞こえてくる。怪物だの、巨大海蛇だのと物騒な単語が飛び交っていたが、ナミは聞こえないふりをして彼らに潜水を続行するようにと指示を出したその時だ。甲板の彼女達の耳にリズミカルな旋律が聞こえてきた。その音源はこちらに近づいてくるようで段々と大きくなってきている。

ーサールベージ、サルベージー♪ー
ーサールベージ、サルベージー♪ー
ーサールベージ、サルベージー♪ー

シャンシャンドンドンと鼓笛隊の音とともに現れたのは一隻の船。
船首にあるのはシンバルを持った猿。そして甲板に目立つ大きな男が一人声をあげる。
「引き上げ準備!沈んだふねはおれのもんだァ!!!ウッキッキー!!!」
「お猿だ」
「猿ね」
「また妙なのが出てきたわ…。」

こんな時に…。