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3


大きく打つ付けられる木槌の音、鉄格子の中を不躾に見つめる多くの視線。
まだ無知だった私には全てを理解することはできなかったけれど、自分は売られ、買われた事だけは解った。

私を買った人たちは幻獣種の研究をしているらしく、その施設に連れてこられてからは、
いろいろと調べられた。
皮膚を採取され、角を少し削られ、血を抜かれた。
おなかの中も見られた、すぐに閉じられた。
研究されればされるほど、私は私を知ることができたのは唯一の救いだったと思う。

サラマンダーという種である事、炎の中を泳げること、本来なら空も飛べること、酷く頑丈な体を持ち、血は薬にも毒にもなるという事。

来る日も来る日もありとあらゆる研究をされた。
血から薬を作り出されるようになってからは、血液採取が主になった。
切り出されることも、沈められることもな無くなったが、致死量になる手前まで血を抜かれることは辛かった。
せめてその薬が多くの役にたっていればいいと思うばかりだった。

どれ程の月日がたったころだろうか、ここに何時にはいない男が来た。
どうやら私の血から作られた薬を知り施設に来たという、その男は自分の上司が薬の元である私を求めているらしく、買いに来たのだと。
此処の人は拒否を示したようだった。
すると答えを聞いた瞬間男がその人の腹を貫いたのだ。一瞬出来事に思考が追いつかなくてその間に男がこちらにやってきた。そしてあっさりと私が入っている牢の扉を開けたのだ。



この男が酷く気に食わなかった。
施設の人は曲りなりにも、人の世のためと私たち《幻獣種》を研究していた、けどこの男は違うこれはきっと悪と呼ぶものだろうと解った。
自分の欲を満たすことしか考えないものだと、何故ならあの時の人狩り達とおなじ目をしていたから。

私はあの時以来初めて拒絶という事をした。
牙をむいた、爪を立てた、吼えた、暴れた。できる全ての抵抗の手段をした。
無駄なことだとは理解していた。
解っていたのだけれど、こいつには私の何も取られたくはなかった。
抵抗は男の見たことのない力ですぐに抑えられてしまった。
手足と口には白いものによってで枷をされ、倒れた体を何度も蹴られた。
正直痛くてつらかった、誰も助けてくれないのだから。
頭を打ち付けて死んでしまおうかと思った時、じじ様の最後の言葉がよぎった。
まだここで消すわけにはいかないと踏みとどまった。

貧血と痛みで意識を飛ばすのはそのすぐ後のことだ。
男の笑い声はひどく耳障りだった。


頭が3の形をした男はBWと名乗り、私は袋につめられた、その日から暴れては気絶し暴れては気絶しの日々だった。