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36


ざぶざぶざぶと水が徐々に増えつつある部屋の中で、
こちらに気が付くことなく水を飲み続ける男にはものすごく見おぼえがあった。
頭の3とあの服装、檻の中からもそれが見えたらしく船長やゾロがあいつはと驚きを隠せていないようだった。
「3てことはあいつがMr.3か」
その声にサンジもそいつの正体に気が付いたらしい。水をひとしきり飲み終えたのかやっと私たちがいる事に気が付いたらしくこちらを見てぎゃーと悲鳴を上げている。そして船長達と一緒にいる私を見つけて、「爬虫類!お前こんなところに!」と言って来た瞬間に目の前が真っ赤になるような感じがした。ビビとサンジが止める前にあいつに思いっきり頭から飛びかかる。
お腹の上あたりに頭がめり込んだみたいでものすごく苦しそうな声をあげてるが気にしない。ざばっとそのまま床に倒れこむ、
「……っ!何をする!爬虫類の分際で」
「うるさーい!私ははちゅーるいなんかじゃなーい!」
シロていう船長達がくれた名前があるんだとべしべしとあいつの頭を叩いた。痛いとか止めてとか言っているがやめない。だってこいつ私が痛がってたりしてたのに辞めてくれなかったから。ぺちぺちばしばししているとこいつにやられたことがどんどんと思い出されてきて止まらなかった。
「次言ったらゆるさないからな!」
お前なんか!お前なんか!とまたべしべし叩いているとその手を誰かに掴まれた。振り返るとサンジがすごく苦しそうな悲しそうな顔をしててそれを見て頭の中が冷たくなるような気がした。
「シロちゃんもういいから」
それ以上やると手が腫れちゃう、そう言って私をあいつから遠ざける。ビビが私を抱きしめてそして頭を撫でてくれた。
「シロさん、ごめんなさい。BWのせいで」
クロコダイルのせいで辛い思いをさせてごめんなさい、そう言って私をぎゅっと苦しいくらい抱きしめた。
「ビビのせいじゃないよ」
ビビは悪くないよと私も彼女の背中とか頭とかを撫でる。そうしているとサンジ達の方からこれでどうだ!という声と共に何かが水の中に落ちる音がした。何が起きたのだろうとそちらを見るとあいつが蝋の塊についていた鍵をどこかに投げてしまったらしく。サンジに向かって探せるものなら探してみろと笑っていた。
早く船長達を助けて外にでなければいけないのになんて事をするんだと思っていると、ウソップが何か思いついたかのようにサンジを呼び止める。
「そいつのドルドルの能力でこの檻の合鍵造れねェかな…」
あの大きな像を作っていたのだから、小さい鍵なんて簡単なはずだ、こんな考えちっとも浮かばなかった。
でも素直にやってくれるはずもない、いやだと言っているあいつにサンジが「じゃあ、聞いてくれるようにするだけだと」足をフリ上げた。
その先は見えなかった。ビビが手で私の目を塞いでいたから、ただボコっとかバキっとか聞こえたりあいつの悲鳴が響いていたのはわかった。しばらくすると音が止みガチャと扉の開く音がしたころビビが手を放してくれる。
やっと自由になれた船長達と一緒にアルバーナと言う町に向かう事になるが、そっちにつながっている道はあのおおきなワニが沢山いるらしいとそっちを見ると、船長とゾロがもう皆やっつけていた。
ビビはあれを一匹倒すのが大変だったみたいでとても落ち込んでいるが、きっと船長達が強いだけだからとウソップと一緒に慰めていると、壁がピシピシと音がしてきて部屋がくずれ始めた。走って通路を通っていると水が沢山入ってきて一気に水中になってしまう。咄嗟に泳げない船長をサンジと掴んで明かりが見える方向に向かって泳いでいき顔を出すとそこはあの大きな建物から少し離れた道沿いに出た。
「オイ生きてるか?ルフィ!!たく能力ってのは厄介なリスク背負ってんな」
シロちゃんも怪我はない?と船長を引き上げるサンジに大丈夫と答えて、他の皆も居るかなと周りを見る。ビビとナミちゃんは何故か大きなたんこぶを作っているウソップを連れていて、ゾロは白い髪の男の人を抱えて上がってきた。ナノハナで船長を追っかけていた人だ、なんでこの人がいるんだろう。
でもそんなことを気にしている時間もない、船長達を起こしていると、その人が気が付いたらしく何故助けたのかとゾロに剣のようなものを突き付けていた。
助けたことに特に理由はなかったみたいで、彼はただ船長の命令で動いただけだと返す。
だから感謝も何も必要ないと。そうこうしているとカジノの周りにいた海軍の人が気が付いたらしくあちらこちらから向かってくる音がした。
船長達が目を覚まして男の人と戦う気満々でいるが、早くここから逃げないと皆海軍につかまっちゃうと船長の服を引っ張る。
「……行け。だが今回だけだぜ。おれがてめェらを見逃すのはな…。」
次に会ったら命はない。そうその人は私たちが逃げることを許してくれた。皆びっくりしていたけれど、こんなチャンスもうないかもしれないからアルバーナの方へと駆け出す。
ししばらく走ってると船長も追いついてきてこれからどうやってアルバーナの町へ向かおうかと話していると前の方かドドドドドドドドドと大きな音とともにチョッパーが何か大きな生き物に乗ってこちらにやって来た。
目の前に止まったそれは大きなカニで、ラクダのまつげの友達らしくアルバーナまで載せていってくれるらしい。
ビビもこのカニには驚いていた。滅多に会えない珍しいカニのようだが、なんだかナミちゃんとビビを見る目が他のみんなと違うのがちょっと心配だけど。
「チョッパー無事でよかったよ」
「おう!シロも皆も無事でよかった」
カニに上ってお互いの無事を確認しあう。これありがとなと渡していた頭の布を受け取った。全員カニの上に載ったのを確認すると、チョッパーが手に持っている綱をグッと握る。
「よーし行くぞーっ!!!」
その掛け声とともにカニがざざざっと大きな音を立てて動き出し。出発だ!!とアルバーナに向かうその瞬間に何かに後ろから首を捕まれる感覚がした。
「えっ?」
そのままグイっと後ろに引っ張られる。その感覚を味わったのはビビと私だけだった。
いきなりの出来事に何が起きたのかわからずゾロが私に向かって手をばしていてそれを掴もうとしたけれど届かない。
「ビビ!シロ!」
「止めろチョッパー!!!」
ビビ!シロ!あいつだと船長が腕を伸ばしたが、つかめたのはビビだけだけで、そのままビビをみんなの方に投げ飛ばしたようだ。
私の方が彼女よりも先に引っ張られたらしくどんどんとみんなの所から引き離されてい
く。
「せんちょー!みんな―!」
なんとかその掴む手から逃れようとするが、がっちりと首を掴まれていてどうすることもできない。
そのまま砂漠にたたきつけられる。ゲホゲホと掴まれていた首が自由になる倒れこんだまま息を整えていると人影が目に入った。
「よぉ」
その声は聞いたことのない低く暗い声で、思わず体が硬くなる。そのままゆっくりと顔を上げていくと
「寄り道は楽しかったか?サラマンダ―」
そこには今まで見てきた中で一番嫌なあの目をした黒い男がそこに居た。咄嗟にその人から逃げようとしたがどこからともなく手が生えてきて足や腕を掴まれまたその場に倒れる。
「あら、ずいぶんと可愛らしい子なのね」
ビビ王女には逃げられちゃったけどと白いコートと帽子をかぶった女の人が傍に来た。
「動かないでね、じゃないと腕か足を折らなければいけないから」
痛いのはいやでしょ。とても優しそうな声でとても怖いことを何でもないかのように言う。それがすごく怖くて声にならない音が口から洩れた。
「どの道エージェントはアルバーナに集結予定だ…」
すぐに連絡を取れ、男が手をあげると砂漠の砂がどんどんと形を変えて私の周りを取り囲んで雁字搦めにされてしまう、藻掻いても藻掻いても砂は離れなくれ動けない。
「無駄だ、その砂は決してお前を逃がさない。」
家畜は家畜らしく大人しくしていろと男は言うと、ビビの代わりにこちらに戻ってきた船長を見つめた。

「少々、フザケが過ぎたな麦わらのルフィ」

シロ大丈夫だ。すぐに助ける。