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23


ワポルがナミちゃんから隣にいる私に視線をずらすと、「お前その角…もしや…人型の竜かっ!?」と漏らした。
ギクリと体がこわばる。
「ううん全っっ然違うわよっ!!?何のことだか私たちさっぱりわかんない!!!この子も竜種じゃないわよ!!?」
隣に居たナミちゃんが咄嗟に手を横に振り否定した。
「えっ…そうなのか?」
「そうなの、私はただの通りすがりの航海士、この子はその助手で頭のこれはアクセサリーなの!流行ってるのよ!ね!?」
彼女は視線で【あわせなさい】と言ってきたので無理があるであろうその内容に乗ることにする。
「とても、人気、いいよ」
ダメ押しにグッと親指を立ててみた。
そして、二人でじゃ!と手を振ってその場立ち去る。うまくいったように思えたのだが、
後ろで何か物音がするので振り返ると、ワポルが柱をよじ登ってきていた。
「ウソつけェェ!!!」
「「きゃああああ!!!」」
ナミちゃんは私の手を握って駆け出す。後ろから奴が物凄い顔で追ってきている。
「夢にまで見た竜!!!!何たる僥倖!!!待て!!!」
大口を開けて追ってくる姿は人間には見えなくて、恐ろしさが一層ましてくる。
ナミちゃんは病気が治ったばっかりだし、自分もとてもあいつにかなうとは思えなかった。
ただがむしゃらに城の中を二人で走り続ける。

「せんちょー!せんちょ―!助けて―!」
せんちょーここだよー!と息が上がる中この場でもっとも頼りになる人の名前を叫び続けた。
「シロ!あそこから下におりて外に出るわよ!!」
彼女が指をさした先に小さな階段がある。あの小ささなら自分たちは通り抜けれてもワポルは通れないかもしれない。一か八かでその階段を下りていく。
ガツンとワポルは階段の入り口でつっかえて動けなくなった。
「ウヌヌ!!最近ちょっぴり太ったか!!!」
思った通り!とナミちゃんがガッツポーズする。このままみんなと合流すれば何とかなると二人で安堵したのもつかの間
「バクバク工場〜〜〜っ!!!」
ワポルが自分を食べて小さな塊になった。そのまま階段を転がり落ちる。
「ナミちゃんなにあれ…」
「わからない…バ…バケツになっちゃった……!!」
地面に着地すると、その塊からバリボリバリボリとなにかをかみ砕く音と奴の苦しむような声が聞こえてくる。
きっと何かがあれの中で起きているのだ。きっと自分たちにとって良くないことが。
音が止まりあいつの笑い声が聞こえてくる。
「奇跡の骨格整形術!!」
スリムワポール!!!現れたのはさっきの姿とは全く違ったワポルの姿だった。
もう逃がさんと笑う顔に冷や汗が垂れる。
奴がとびかかってくるのと同時にナミちゃんの背中を押す。
ワポルが背中にのしかかっていてそのまま地面に倒れこむ。頭を抑え込まれ身動きが取れない。
「まっはっはっはっは!!!カバめ!まずはお前から死ね!!!」
実食!!と口を開く音が聞こえ、口が背後の頭すれすれまで来ているのを感じる。
もう駄目なのかと目をつぶり悪あがきで「せんちょー!」と叫ぶ。

「見っけ」
待ち望んでいた声が聞こえて、上に載っていたワポルが吹き飛んでいった。
「あり?あいつあんなに細かったかな…」まあいいかと倒れている私を船長が起こしてくれる。
「やーっと見つけた。シロの声が聞こえてきてそれを頼りに来たんだ。間に合ってよかった」
大丈夫かと私の頭をポンと撫でた。その後ろからナミちゃんが怖い形相で船長に近づきゴンと彼の頭を殴る。彼女の怒りの原因は貸していたコートがボロボロになっていることらしい。
危ないところを助けてくれたのだからと止めてみたけど、それこれとは話は別よといわれ、結局船長はナミちゃんに10万ベリー貸しになってしまった。
ごめん船長、私じゃナミちゃんには勝てない。

「そこまでだ貴様らっ!!」
吹っ飛んだワポルが起き上がってきた。
そして自分の後ろにある扉を指さし、これで終わりだと叫ぶ。
あの先にはありとあらゆる武器があるらしくそのカギは奴しか持っていない。
その扉が開けば自分はそれを食い尽くし恐ろしい人間兵器になるそうだ。
さぁ開くぞと腰のあたりに手を伸ばして
「鍵がないっ!!!」
何とも言えない空気があたりに漂う。お互い無言でしばし見つめあう。
先に動いたのはワポルだった。
「いやまだだ!!奥の手はもう一つあるぞっ!!!」
そのまま城の上を目指して螺旋階段を駆け上がっていく。
船長は追って同じくかけていった。
「ルフィなら大丈夫よ」とナミちゃんはポケットからきらりと鍵を出した。
「それ、どうしたの」
「あいつが吹っ飛んだ時に落としたみたい、落ちてたのよ。武器庫のカギか…宝物庫だったらよかったのに……」
つまんないとくるくるとまわす。
ナミさ〜んシロちゃ〜んとサンジの声が聞こえてくる。二人とも平気か?と聞いてきた彼は床を這いずっており逆に大丈夫?と思った。
ドォォンと船長たちが向かった先で大きな音が鳴る。
慌てて音のなった場所を確認するため外に出ると。
ドクトリーヌとチョッパーが上を見上げていた。

―ドクトリーヌ…ドラム王国が……!!
―この国は……ドクロに敗けたのさ
ヒッヒッヒとドクトリーヌの笑い声があたりに響く
見上げた先で船長が、この国を最悪にしていた者を遠くの彼方へと吹き飛ばした。


もうここへは戻ってこないように遠くにずっと遠くに。