月島くんとレンタル屋
「月島くんってこういうレンタル店来なそうだよね」
「まぁ…CDは聴きたければ買うし、DVDは観る時間ないし借りて返しに来るの面倒くさいから来ないね」
「わたしもあんまり来ないけど、最近ポストで返却とか出来て便利だよね。あ、あったあった。これ借りてみたかったんだ」
「なに?」
「ナアと海の女王!」
アニメコーナーの一番手前で棚を丸々一つ使って大量に陳列されているパッケージを手に取る。
「…ああ…山口も映画観に行ったって言ってた」
彼もその隣の同じパッケージを手に取って目を細める。
「一緒に観に行かなかったの?」
「面倒くさいから断ったら一人で観に行ったらしいよ」
彼はそう言ってパッケージを棚に戻す。
「面白いってやっちゃんが言ってたから気になってたんだ。一緒に観ようよ!」
「やだよどうせ子供向けでしょ」
自分たちと同じように棚からパッケージを持って行くのは小さな女の子や小学生ばかりだ。
「でも最近の子供向けアニメって大人が見ても面白いの多いっていうし…」
「とにかく僕は見ないから。借りるならさっさと借りてきて」
「絶対面白いと思うのにな〜」と言って唇を尖らせながら持っていたパッケージをレジに持って行く。
「すごい面白かった!「砂のお城つく〜〜ろ〜〜」って歌があってね、作ったお城が動いて歩くの!」
「…城が動いたらそれ違う映画じゃない…?」
「主人公の姉の海の女王様がね、魔法で海をバーーーン!!って割るの!」
「…モーゼの十戒?」
「海の呪いにかかった主人公が倒れちゃうんだけどね!」
「どうせ王子様のキスで目覚めるとかいうんでしょ…」
「ところがどっこい!主人公と一緒に旅してた動く城がイルカと合体して…」
「ちょ、ちょっと待って情報量少ない割に話にボリュームあり過ぎてついていけないんだけど!?」
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