memo | ナノ



想へど狂おし、狂へど愛おし
2013/02/03 00:12

 このくだらない関係に終止符を。
 打ちたい、打てない、打ちたくない。


 書斎の奥の部屋に引き摺り込まれ、頬を張られた。冷酷な声音で断罪。
「また云い付けを破ったな。何度云わせれば気が済む、彼奴のところには行くなとあれほど」
 また頬を引っ叩かれる。同じ側ばかりが痛い。彼が右手を振りかぶる。
「云っただろうが」
「でも僕が悪いんじゃ、」
「口答えするな」
 掲げられた手が拳を握り、鳩尾に入った。
 食事は与えられていないから、吐き出すものは何もない。膝ががくがくと震えている。だが彼に襟首を掴まれているために、崩れ落ちることもできぬ。縋ろうと伸ばした手は叩き落とされた。
「やはり躾け直さねばならんか」
と穏やかならぬ呟きと共に首を絞められた。
 意識が薄れゆく。

 目覚めたときには檻の中にいた。檻とは文字通りの意味でなく、彼が私のために用意した部屋だ。此処は滅多に使われぬ。使うのは彼だけだ。私に「折檻」をするときの彼、だけ。


 逃げようとすればより酷く扱われる。従順であれば良いのだ。それ以外には彼は求めぬのだから、多少の理不尽は気にせぬことだ。
 そうすれば彼に愛されていられるのだから。


*120919



prev | next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -