#twnovel



追記はボツverや補足などお見苦しいやつ。

永遠だと思っていた。分かたれないものだと、なぜだか。古紙と珈琲の匂いの夜は月灯りに包まれていて、本の合間に目を上げれば、向かいには必ず。蛍の光代わりのムーンライトセレナーデの底で、カップを前に項垂れている。波打つ柔らかな月も影も映らない、黒く乾く珈琲の輪の中に探している。#twnovel

追記

あっと思う間もなく、扉を開けた勢いで転がり出た何かがべちゃ、と音をたてた。スーパーカップ。冷凍庫と間違えた君の。乳色のバニラに汚れて、足の甲は死んだ魚に見える。ダメになった甘い香りはすぐ腐臭に似る。扉に額をつけて、2秒息をついて、どうせ正しく生ゴミに分別できてしまう僕だ。#twnovel

追記

灰色の放課後が苦手だ。強い光を含むと思えない曇天の下ほど校舎は光る。ミラーハウスのように乱反射する。低気圧に体内の水が、水面が光る、眩む、問いかける。ねえ君に映ってる私って、「待った?」級友。他人。友達。同族。少女。罅。破片。鏡の。「ぜんぜん」硝子の一枚で私の横顔が笑う。#twnovel

追記

手向けられた向日葵の花束を鼻で笑った。透明なフィルムに包まれた一輪を目の前に翳す。白い夏服で屋上の縁に立った君もこんなだったろうと思う。給水タンクの蓋を開けた。映る細い月と絡みながら白薔薇が暗い水に消えた。君を見殺した誰もかも、腐れた花を飲め。肺を蝕まれながら生きてゆけ。#twnovel

追記

「蝶」「会いたい」「サヨナラダケガ」

対称のもの、一対のものが、私は蝶に見える。すなわちこの体に収まるほとんどのものが。「さよなら」その言葉に頷く、目を伏せる、従順なおもての裡で心臓が蛹のような形を解く。脈打つ。翅を開く。光る粉の軌跡を描いて、心だけがすっと空を切る。去りゆく人の背中はいつも青く煌めいている。#twnovel


ハートの宝石に、この公園を思い出したのだ。回転遊具に掴まる。軋んだ音で回る、鮮やかな色が回る、回る、目眩がする。冷えた指の感覚がなくて、握る指が消え失せたようで何度も目を開く。幼い幸せに繋がれた指がごろりと転がっている気がする。玩具のゆびわ。ラムネ付き。「ユビツメ注意」。#twnovel

追記

「夜」「視線」「すり抜ける」

心は閉じた夜のかたちをしている。夜の隅に膝を抱えて、視線をレーザーやサーチライトみたく走らせる、私だけの安全な暗闇を哨戒する。守っている。守りながら、それを擦り抜けて彗星みたいに落ちてくる人を待っている。赤く充血した目をもう無駄だって笑って眠らせて。独りの全き夜を壊して。#twnovel


黙って着いてくればいい、苛立った声を聞こえない振りで売店を見た。大人が僅かな情報を奪い合う今を、君一人で切り開けるとは思えなかった。芥子粒のような羽虫が蛍光灯を埋めていく。頭の中にも黒い糸屑がグジャグジャと絡まる。かつてはそんな雑音を縫う、蜘蛛の糸のように聴こえた君の声。#twnovel

追記

「月光」「雑誌」「祈る」

「田舎の皆の気持ちを背負ってここにいます」彼女の部屋でも見られたらもっとリアルな想像でぬける、邪な僕は固まった。項垂れた。力なく投げたページに、カーテンの隙間から白い月の光が落ちていた。想像の中で何度も汚した笑顔を、包み清めるように射す。欲望も執着も何一つ君に届かないで。#twnovel


「風」「書簡」「骨」

強風が手の便箋を煽り、折目に積もった白い砂が顔を襲いました。貴方の郷の潮の――否、生命の匂いが鼻を掠めました。目を閉じました。続きはもう要りませんでした。瞼に焼き付いた白が、私の中で星のごと光り語るかのようです。白い歯を覗かせて笑う口許から、零れるかのように聞こえてきます。#twnovel


押した鍵盤はヘコ、と力ない音で空を打った。隣は錆びた弦でガツ、と鳴った。精巧の極みを尽くされたものが朽ちていくのは哀しい。抱くスイートピーの花束から白詰草の冠の香りがする。指先からは音のないトロイメライが流れて、口のなかに咳止めシロップの甘苦い味がする。音のない夢にいる。#twnovel

追記

「椿」「愛」「心で泣く」

どうしてこんなに愛してしまったのだろう。思う時、心臓が別の生きもののように涙を流す。脈打ち、臓の剥離したような、経血や椿の花首を思わすような紅い涙をどろりと吐く。体中に散らかった落ち椿の絨毯で途方に暮れる。目を擦る。さらさらと生温い、透明な水のようなものを何だろうと思う。#twnovel


「だから」言い募る語尾が乾いた笑いに消えた。蝋細工のクリームソーダを透かした緑の光が、空の水槽に溜まる。擦りきれた合皮に白菊の花弁が落ちている。引き留める縁になるものは一つずつ、一人ずつ死んでいく。だからこれからもずっと、なんて言うのに、こんなに適してない場所、ないだろ。#twnovel

追記

「夜」「宝物」「微笑む」

夜、君に時間をとるのは変わらない。宝物のように話すのが気に入りの絵本や映画から、美術史のゼミや観た特別展になっても。目を細める。幼子から少女、一人の女性へと変わる君が、フィルムのように、画廊のように瞳の奥に整然と並ぶ。季節毎の星空を背負い、窓枠を額縁にして微笑う夜の絵画。#twnovel


冷たいのと痛いのとは区別がつかない。強い風が頬を切り、細かい雹が頬を打つのが、ただ偏に煩わしい。濡れた樹皮に松脂の匂いが際立つ。細い歌声に松、海、切れ切れの言葉を拾い出す。記憶の縁をくすぐるような詞に、声に、心を鎧っていた氷が解ける。融ける。ああ、いたい、やっとそう思う。#twnovel

追記

「薔薇」「口唇」「読む」

その唇の動きは、音を伴わないからこそ花開くように美しい。"わたしは" かつて言語学の教科書で見た、SVO文型の直線に比して渦を巻くような日本語の文型を、君の唇を読むだに思い出す。"あなたを" 一番知りたいことは、最後まで唇の裏、噤めばずっと知りえない、綻ぶ薔薇の花芯。"――してる。" #twnovel


雪に降り込められた地下のライブハウスには、ひりつくような熱と痛みがうねって溜まっていた。唇を当てたグラスは縁が欠けていて、モスコミュールは鉄錆臭く記憶に残った。Dr.マーチンの踵が透明な何かをざりっと踏む、眼鏡やグラスの欠片、融け残る雪、張り裂いた鼓膜の、誰かの憧れの破片。#twnovel

追記

タタンタタン、車輪の音が響いていた。廃線した此処ではない、近くの、別の私鉄の。「こんな風に未来を失うなら」君の爪先が石を蹴る。「形のある物に轢き潰されて終わりたい」背後に迫る巨大な黒い影を見た気がした。警笛が鳴る。風が前髪を浚う。砂埃に目を閉じた。また開けるのが恐かった。#twnovel

追記

雲の切間からの満月に、陳列棚がさあっと輝いた。迷子の双子を森から導いた石みたいに。白い石には浄化の力があります、朗らかな声を笑うように、煙を抱くもの、青みを帯びるもの、黄がかる星型のもの、とりどりに光を雫す。双晶を見つけなければ安らがない心だから、何時までも森の中にいる。#twnovel

追記

「寒さ」「指」「拒絶する」

冷たいものは、眠っている気がしない。体温の籠ったシーツと境がわからないように温く微睡む肌は、手の甲から指先にかけて突然冴え冴えと冷える。除光液の人工的なベリーの香りがする。咥えればエナメルの味がする。拒むようにいつまでも温度の移らない指先にだけ、口づけて愛してると言える。#twnovel


橙の残照が、東屋の破れた屋根から降っていた。萱越しの光が小波を打つほど、秋の日は見る間に落ちる。「次は」水底で動くような唇を見た。「ここで桜を見ましょう」ザザ、と静かに長い影を伸ばしていた重機の音がする。この園の春を遠く、波の彼方へと押しやって、約束を優しい拒絶に変える。#twnovel

追記

紅茶から立つ白い湯気を、切るように星は流れた。魔法瓶の蓋に唇を当てて、しし座、こと座、次の大きな流星群を挙げあった。あと3つ流れたら。唇の火傷が癒えたら。胸の中で引き伸ばす長いお別れの夜、白み出した空に星の軌跡が見えなくなる。知ってるよね。しし座は15年後。こと座は30年後。#twnovel

追記

「朝」「純白」「揺れ動く」

冬枯れた木立が絡めたように、霧が揺蕩う。空気清浄機と環境音楽に、レースのカーテンがそよぐ。何か決めたくて起きる朝は、いつも外的要因を許さないように白く凪いでいる。息を吐く。目を閉じる。私の中には白い小部屋がある。白い首の短い切り花を見つめて、いつものように決めごとをする。#twnovel


顎先に伝った汗が、花弁に散った。陰の濃い名も知らない夏花の芯が、ぎょろりと目を剥いた。膚の一枚深いところがざわめく。血管が神経が根を張るように地に縫い付ける。誰かを追いかけることも手を広げて抱き締めることもしない体を、仲間だと呼ぶ。青い匂いを吸って吐く程に、体が花になる。#twnovel

追記

温みきった閉館間際の展示室、触れずとも冷たいとわかる青褪めた指には、ガラスの向こう側の物の方が近しい。天青石の柱晶やシーラカンスの脊柱標本の方が。落ちる髪を耳にかけ直そうと、伸ばしかけて躊躇う。手がガラスにぶつかるような気がする。それを隔ててしか、正しく愛せない気もする。#twnovel

追記

鞄を開けて、インク浸しの便箋に力が抜けた。電気も点けずに突っ伏す。頬に冷たい天板を感じる。紺青のインクに光る粒、まだ濡れたような表に映る星。ノートの端々、SNSの下書き、散らばった言葉をどう繋ぐより、これを一枚渡したいと思う。星が生まれては堕ちるような、ここ最近の胸のうち。#twnovel

追記

「嘘つき」「雨」「はつこい」

恋初めはとっても清らかだった。自分以外に笑いかける顔だけで、胸に澄んだ水が滴り満ちるみたいだった、なんて、「嘘みたい」私だけだと言わせる度に、温い雨が乾いた心を打つ。甘く濁るように満たされていく。何も濾さない心は一筋の光のような真実にももう気づけはしない。「嘘でもいいの」#twnovel


咳き込むのをつらそうだと思いながら、電話を切れなかった。窓の結露に線を引く。一人きりの○×ゲーム。すぐに泣くスマイルマーク。「ごめん、有給」別にいいけど。「キャンセル料とか」かからないけど。まだ一番聞きたいことを、聞けてないんだけど。ふやけて冷えて感覚がない、指先も何も。#twnovel

追記

「瞳」「波」「拒絶する」

涙の量は人によって違うのだろうか。人生で一度も浮かべたことのない疑問が会う度に過るほど、その瞳は涙の海を湛う。満月の明夜、月が潮を引くように菫色の瞳は波立つほど潤む。瞳に水を奪われたように乾いた唇がわななく。「ごめんなさい、」いい。言わなくていい。このまま月のせいにして。#twnovel


この街の秋を見たかった、惜しげに笑って出された手を私は握らなかった。触れた掌からきんきらに染まって、世界の煌めきを集めたようなたったの一瞬から、散って嫌な匂いをさせ始めるとわかっていた。欠けたハートみたいな、端がまだ緑の銀杏が爪先に触れて崩れる。光っていて。海の向こうで。#twnovel

追記

白いスクープを齧る、唇のグロスが融けた表面に掠れてピンクに光る。鼻先にケミカルな蜜の香りが流れた気がして、時折耳を擽る羽音もそれに惹かれたように思える。氷の匂い、バニラの吐息、化粧品の香り、頭の中にふわっと白い花が咲く。目の前で弧を描くのに届かない、微笑みみたいな幻の花。#twnovel

追記

バスのステップを降りきるその足が水溜まりの氷を踏んだ。余所者を拒むようだった。パリときれいな音に反して惨めに中敷に泥水が沁みる。革靴の染み、足指の叉の冷える記憶、五駅歩く間その耳慣れない町で営まれる暮らしに思いを馳せること。それが人生に受け入れられなかった人に捧ぐすべて。#twnovel

追記

「息」「悲鳴」「思いを馳せる」

息を殺すという言葉があった。潜めるでも詰めるでもなくそう呼ぶのは、一度殺した息はもう戻らないからだと思った。吐けば一つ一つが名前になる、悲鳴になる息をシーツに吸わせる。会えない夜は貴方のことを考えてもいないように笑う。素足が殺した息の透きとおる青い血にしんねり濡れている。#twnovel


気圧が低いから、と私は言った。少しの間の後仕方ないね、と君は言った。私たちはもう理由を繕わなかった。鈍く締まる頭を組んだ腕に伏せる。冷凍庫の底に押しやられて芯まで凍った霜降り肉の、濁った淡いピンクが瞼に広がる。あれがまた血の色に戻るなんて信じ難い。今週末は会わなくていい。#twnovel

追記

「香水」「指輪」「泣く」

何がほしい? 貴方は尋ねるようになった。香水は3年前のクリスマス、指輪は去年の誕生日、足りないものはもう何もない。鈍らない恋がほしい。慣れない愛がほしい。引くリボンの形が崩れる瞬間、打つ脈がほしい。今流れた涙が底に辿り着かないくらい、息もできない深度がほしい。「考えとく」#twnovel


鱗を削ぐ手が滑って、出刃は薄く甲の皮膚を削いだ。まな板の上で赤紫の腸と朱赤の血が混ざる、生臭さが重みを増していく、腐臭と呼ぶものに変わっていく。私の行いが調理から殺害になる、帰るひとを待つ時間が何かに変わっていく。人魂のような白い重い首を垂らす花に、赤い飛沫が跳んでいる。#twnovel

追記

「宇宙」「選択」「拭う」

サスの音がして、詰めていた息を吐いた。これを吐ききったら、あの星の組成の大気が肺に触れることもないのだった。拭う窓に、酸の雨が、青い夕焼けがジュノーの影が流れる。選ばなかった故郷の星から、聞き慣れない響きに、聴きとれない音に変わってゆくアナウンスに溶けるように目を閉じる。#twnovel


14分のフィルムを観に映画館に来るなんて、初めて聞いた時は笑った。月の新しい窪みを見つけるみたいに、奇妙な癖の一つ一つを胸にしまった。薄暗い劇場、笑う月に浮かぶ横顔にその頃の何かの欠片を探す。この並んだ二つの座席の間よりは、月ででも見つかりそうなもの。仄白く音なく光るもの。#twnovel

追記

「霞」「雨」「忘れない」

霧が霞に、雨になる。それがこの街の朝だった。まだ雨じゃないから、言い合って軒先に並んでいた。銀の粉のように散っていた雫が、髪の色を濃くして消えていく。一瞬一瞬を忘れられないと思う。下瞼に前髪からの雫が涙のように落ちる。胸の内で繰り返す、まだ離れられる、まだ恋じゃないから。#twnovel


月光は思いの外明るい。夜空の傷みたいに細い月の光も、壁面の鏡の中で青白みを増してチュールに落ちる。合わせ鏡に増える月が罅割れたように輝く。砕けた鏡の海で手足を撓らせれば、腕の掻き傷もスカートの裂けも月の欠片で切ったように思う。ルサルカの声にのせる、月に寄せるソワレを踊る。#twnovel

追記

雨戸の外、風の音に混じって呼ばれた気がした。古ぼけた木造に似つかわしくない、殻にヒビの入るような鋭い家鳴りに肩を竦めた。嵐の夜は何かが揺らぐ。このアパートの一室とともに、世界の境界を揺する。観念して口を開いて、君を何と呼ぼうかと思う。知ってるよ。ずっとここにいたんでしょ。#twnovel

追記

抜けた乳歯を飲んだ日から、自他の境のことがわからない。歯茎に刺さっている間は自分で、抜けたら異物、融けて微量のカルシウムとなって巡れば自分。「わかる?」「わからない」ゴムより薄い皮膚を隔てるだけで、絡めた指に体温は移らない。曖昧なはずの境に隔てられて僕らは何も混ざらない。#twnovel

追記

「香水」「暗闇」「思いを馳せる」

蓋に金属の回転木馬。貴方があの頃つけていた香水を街で見た。灯りを落とした寝室に吹けば、気配が立ち上るようだった。肌の匂いも体温も重みもそこにない。知らないから問題ない。知らなくて良かった、嘘が香気を揺らす、気配が肩を揺らして笑うように震える。暗闇。花の香り。貴方はそこに。#twnovel


「結晶」「透明」「慈しむ」

白い薄い胸に掌を当てた。どこまでも正しいことばかり吐きだす胸は喉仏も鎖骨も滑らかな石膏のようで、肺も心臓もなく仄白く透きとおった結晶がひとつ嵌まっているのだ。冷ややかなそれには細い水の脈が走る、掌に感じるせせらぎだけを慈しむ、水温が微かに上がる、それだけのことを恋という。#twnovel


グリーングレーのタイルを吹き渡る、潮と漆喰の匂う風が頬に冷たかった。コンビニくらいなら行く、物干しになら使う、生き延びてきたビーチサンダルをついに捨ててしまった。蛍光色の鼻緒がぼろりと崩れる。靴跡に吹き溜まった小さな砂の城が崩れる。夏に君はもう来ない。君に夏はもう来ない。#twnovel

追記

「羽根」「邂逅」「傷つく」

花を好いたら摘むだろう。宝石が欲しければ金を稼ぐ。雲間に光る羽の一片に心を奪われてしまったなら、弓に矢をつがえる他にない。出遭ってしまったことを嘆いて。僕の人生に墜ちてきて。帰りたい? 首を降る瞳の中に、あの日の羽のきらめきをずっと探させて。細く引く血が赤い糸みたいだね。#twnovel


「露天」「人肌」「コーヒー」

売れ残りと渡された珈琲は酷かった。煮詰まったそれはせめて火傷する程熱くなければ誤魔化せない。「人肌珈琲」「良い風に言うな」紙コップ越しの温度はさすがに体温には高すぎるようにも、冷えきった指のせいにも思えた。マシンを落とす手をこちらに伸ばして教えてほしかった。正しい体温を。#twnovel


上昇するゴンドラのために、降りしきる雪は倍速に、ほとんど吹雪のように見えた。ガラス張りのゴンドラはシェルターだとか脱出ポッドだとかに、僕らは世界で生き残った最後の二人に思えた。「変なふうに割れた」笑い声と甘い湯気が世界最後の空気を揺らす。蜜色の断面がカンテラのように灯る。#twnovel

追記

微笑む顔に、背筋が凍りついた。雪原のような肌の下の痘痕を、かつて私がどう罵ったか、解け出して耳を冷やす。霜柱そのもののような、青白い冷たい指が私の頬を彩る。「衛藤様」彼女の声で私の新しい姓が初めて響く、氷の針が喉から胃の腑まで貫いて彼女の名が凍る、「とてもお美しいですよ」#twnovel

追記

#滅亡24h

世界が終わるなら秋がいいと思っていた。宇宙から寄せる波のような紅い空を、切り裂くように緑のオーロラが流れる。終わりがたの金木犀が恐いほどの匂いをさせて、人の吐き出す嘆きに代わって肺を侵す。何もかも好きになれなかったのに、終わらせ方だけこんなにも胸を衝く世界が最後まで憎い。#twnovel


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