真7日目 終 | ナノ

真7日目 終


そして遂に最終日。
ソラがいない体育館。
スクリーンに映されたのは

『ハンニバル普通種2体、侵食種1体を討伐せよ。出撃者は全員』

全員が覚悟を決めるようにほんの一瞬無言になったがすぐにアビや大澤が明るい声を出した。

「本当に最後って感じやな」
「さっさと終わらせて帰ろうぜー」

二人の声に緊張した雰囲気が和らぐ。ユイカの呼びかけで校庭に出る前に作戦を立てることになった。

「合計で3体いるわけだから1体に3人で戦おう。

グループはうちとトモエとマナ、川崎と大澤とアビで普通種。ライムにアヤ、リオウはソラ。……いいね?」

ユイカの提案に全員が頷く。人をまとめ上げることに優れているユイカ。
おかしな箇所がなければ皆が彼女の指示に従う。彼女がいなければいくらソラがいたとしても誰かしらは今ここにいなかっただろう。

「ハンニバルは攻撃範囲が広いからブレード系は無茶に突っ込まない事。装甲はしっかり使って。ガン系も一定の距離は保つように。戦闘パターン自体は頭に入っているよね?」

短い時間で皆と話し合い、煮詰めていく。これが最後だ。



「そんじゃ、馬鹿な1位連れて帰るよ!」



「おう!!」

















校庭に出るとハンニバルたちがうろうろしていた。
そして、いち早く私たちの存在に気付いたソラが雄叫びを上げる。


『グウォォォォォォォッ』


ビリビリと空気が揺れ、緊張からか汗が流れる。
しっかりと神機を握りこみ、全員がそれぞれの役割を行うために走り出した。

任務開始だ。

それぞれのチームで戦いつつ他のチームに迷惑を掛けないようにする。
実に…

「めんどくさい」
「リオウ…」
「言ったらあかん」

私のセリフに呆れたような返事をしながらも攻撃を繰り出していくアヤとライム。

取り敢えず銃口をソラにむける。

「ソラ!目ぇ覚ましやがれぇぇぇぇぇっ」

思いっきりバレットを撃ち込んでやった。



























ボタッ……ボタタッ……、と血の滴る音が響く。おびただしい量の血が校庭を赤に染めていた。すでに普通種は倒れ、まさに死屍累々と言った光景となっている。

ソラも限界は近いだろう。

「やあぁぁぁぁぁぁっ!!」

『グウォォォォォォッ!!』

再び血が舞った。




















倒れる巨体。


私達が肩の力を抜くと突然ハンニバルが光と共に霧散した。


そしてそこには、

「っソラ!!」

ソラが立っていた。彼女も私たちと同じように傷だらけで服もボロボロとなっている。

「お前…ら…」

ソラの目が見開かれた瞬間、ガクッと彼女の膝が折れた。

「ちょっ、ソラ大丈夫!?」

慌てて駆け寄るとヘラリと笑って

「すまん、力が入らん」
「えぇっ!?」

まるで緊張感がない。だがその光景に安心する。
トモエとマナが甲斐甲斐しく世話しようとしているのを微笑ましく眺める。

すると地面が揺れて校舎等が壊れだした。
バランスを取ろうとしているとマナとトモエが悲鳴を上げる。

「っ何!?これ…」

少しずつ消えていく二人の身体。
大澤達も少しずつ消えだした。

「落ち着け。帰るだけだ」
「え?」
「お前たちはGAMEをクリアした。
よって、この世界は崩壊。お前らは帰還ってわけだ」





順位が下の奴から消えて、減っていく仲間たち。

最後に残ったのは私とソラだった。

そして、つい気になっていた事を声に出していた。

「…ソラ」
「ん?」
「…帰ってくるよね?」

自分の顔が不安で歪んでいる気がする。

「……リオウ」
「…」
「オレは道化師だ」

ソラの顔に私が大っ嫌いな作り笑いが浮かんだ。
自分の顔が強張るのを感じる。

「さようなら」
「っソ……」

ソラの名前を呼ぶ前に私の意識は闇に塗つぶされた。




























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