7日目 | ナノ

7日目 侵


体育館にいるのは私一人。最後に共に残ったソラはアラガミ化して敵になった。つまり最初からソラは私に本当の事を話す気など無かったのだ。

「騙された……」

頭を鈍器で殴られた様な感覚だ。結局ソラはわかっていたじゃないか。この結末を。わかっていながら話さなかった。

この時疲れていた私はソラの優しさに気付けなかった。
彼女は言わないことで私達を動揺させない様にし、守ってくれていたというのに…。







ボーっとしているとスクリーンに文字が映された。

『ハンニバル侵食種を討伐せよ。なおリスボーンは2回可能とする』

行きたくない、という気持ちがよぎった。

だってそうでしょう?昨日まで共に戦ってきた仲間と殺りあわないといけない。
しかも相手はソラだ。勝てるわけがない。

悪い方にばかり行く思考の中、ふと仲間達の顔が浮かんだ。
振り返ってみると皆誰かの為に何かを残していた気がする。
少なくとも私が看取れた奴らは私達に希望を託してくれていた。

絶望してなどいなかったのだ。

そんな仲間の死を無駄にするのか?今日まで生きてこれた私が?

立ち上がって思い切り両頬を叩く。

「よしっ!」

終わらせに行こう!





・・*・・*・・*・・





「来たよソラ。いや、ハンニバル」

声をかけると威嚇してくるハンニバル。既にソラとしての精神は無いのだろう。
飛びかかって来たのを横に回避し、籠手を狙って撃ち込んでいく。タイミングをはかって攻撃を止め、後退。ハンニバルの剣攻撃を避けながら隙を窺うのを繰り返した。


するとついに籠手が破壊された。
しかしそれによって活性化したハンニバルの回転攻撃に巻き込まれてしまった。


「くっ…」


気付けば朝礼台の上。

リスボーンしちゃったのか…。

すぐに飛び降りて、相手の隙を探る。
回避をして、撃ち込んでまた回避を繰り返す。
銃形態なのを今になって恨めしく思った。



暫くすると今度は火の玉を回避しきれず、再びリスボーンしてしまっていた。
ここからは更に注意深く行動しなければいけない……。

そう思って気を引き締め、朝礼台から飛び降りた。








もう後には引けない。


注意しながら戦うも少しずつ削られていく体力。回復アイテムも底をついた。

どう戦うか考えた所で引っ掻き攻撃をかすってしまった。

「うっ……」

あと一撃くらったら死ぬだろう。

頭では分かっているのだが、身体が耐えきれず片膝をついてしまった。
霞む視界の中、ハンニバルが近づいてくる気配を感じ、必死に頭を上げる。


…ごめんね、皆…。ごめんね…ソラ。約束、守れそうにないや…。



“そりゃ決まってんだろ。生きることを諦めるな”



初日、ソラが私達に向けて言った言葉が頭をよぎった。そうだ、諦めてどうする?何が残る?





「死んで…たまるかぁぁぁああっ!!」




そう叫んで立ち上がるとハンニバルの動きが一瞬止まった。
それを見逃さず、神機を構え、最後の一撃を打ち込む。バレットは見事に直撃し、あちらも限界だったようで、巨体は音をたて、土埃を巻き上げながら倒れた。


それに伴い世界が白み出した。

「っソラ!!」

『ありがとう』


薄れゆく意識の中、ソラの声が聞こえた気がした。








ー残り 1人ー

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