不意に先輩の1人が俺の股間をスラックス越しに掴んだ。
「勃ってんじゃん」
不敵な笑みを向けられカアァ、と顔に血が集まったのを感じた。
「チクられても困るからな、ほんとはレギュラーの特権だけど特別に一回だけヤらせてやるよ。」
数人の先輩が俺の腕を掴み、空いているもう一つの方のベンチに連行する。肩や脚を押さえつけられベンチに寝転ぶ形になった。スラックスのファスナーを下げられ、ズボンと下着がずり下ろされた所で俺は何をされようとしているのか気づいた。暴れようとしても、屈強な先輩たちに抑え込まれると碌な抵抗ができなかった。あっという間に勃起したペニスが空気に晒される。
廣田さんは肩を抱いて水沢さんをこちらのベンチへ連れてきた。脚を震わせてヨロヨロ歩くその痛々しい姿に冷や汗が出た。
「ほら、やれよ水沢」
先輩たちが水沢さんの背中を突き飛ばした。ぐすぐすと泣きながら俺の体を跨ぐように脚を伸ばし、片手を後ろに回して尻の肉を自ら左右に割開く水沢さんに、周りがニヤニヤと下品な視線を浴びせる。
「みず、さわさ……っ」
「…ごめ、ごめん、はしもと…っ、目……閉じてて……っ、…」
俺のペニスの先端に入り口がくっついたかと思うと、みるみるうちに水沢さんの腹の中へと消えていく。
「ふ…っ、ん、ぅ…っ、あ、あ……」
「う、あ………っ」
水沢さんのナカは、想像以上だった。
トロトロに解けた肉壁は驚くほど熱く、柔らかいのにピッタリとペニスにフィットし、うねうねと意思を持った生き物のように動く。時折きゅんっとペニスを締め付ける極上のアナに、逆上せたのではないかと思うほど心臓が大きな音を立てて鳴った。
「水沢のマンコすげーだろ?俺らが育てたんだから感謝しろよ」
「最初はキツすぎてチンコすげー痛かったもんなぁ、全然言うこと聞かなくて暴れまくるから押さえつけるだけで体力削がれるし」
「ほら、ちゃんとイかせてやれよ」
先輩たちの声は、熱に浮かされている俺の頭の中には入ってこなかった。
ベンチに寝そべっている俺の両脇に膝をついていた水沢さんが俺の腹に両手を突き、膝を離してそこに足を置くと、M字開脚になった。激しく上下に動く度、俯いた顔を隠している前髪や、張り詰めたペニスが揺れる。
「あ゛ん、あっ、んぅ、あっ、あ…っ、ふぁ、ああっ、あん…っ!」
「はぁ…っ、は……」
口を開きっぱなしにして喘ぐ水沢さんの涎がポタポタと俺の下腹部に落ちた。前髪から見え隠れする真っ赤な顔。切なげに眉根を寄せて目をキツく瞑るその表情から目が離せず、凝視してしまう。ふと水沢さんが目を開きこちらを見た。目線がかち合った瞬間、一際大きな涙の粒が瞳から落ちる。
「…っ、みないで……」
弱々しく小さな声でそう言った水沢さんに、俺の中のストッパーが外れた。
「ひんっ!?あっ、やん、あっ、やっ、いやぁ゛あっ!!」
俺は水沢の腕を引っ張り、自分の胸の上に彼が倒れこむのを確認すると、素早くその背中と腰に両手を回して起き上がった。そのまま水沢さんの体をベンチに押し倒し、骨盤を強く掴んで欲望のまま腰を振った。
「うわ、橋本ノリノリじゃん」
「水沢のマンコ気に入ったみたいだな」
「あ゛っ、あんっ、うぁ、ひゃん、ああぁあっ、はし、も…っ、あっ、あぁんっ!!」
水沢さんは両手の拳で顔を隠してしまう。辛うじて見えているのは真っ赤な舌がチラチラと見え隠れしている口ぐらいだ。唾液で濡れた唇を見て、キスしたい、と衝動的に思った。
顔を覆っている手を引き剥がし頭の両脇に固定するとイヤイヤと頭を左右に振る。俺は自分の上半身を水沢さんに重ねると強引に唇を奪った。目の前に大きく見開かれた瞳がある。それを確認すると俺は目を閉じて水沢さんの唇を堪能することに集中した。
「んっ!?んん、んぅ、んんんん…っ、ぅ、ふぁっ、んんん…っ」
絶え間無く喘ぎ声を発する開かれた口に舌を侵入させるのは簡単だった。舌を奥へと伸ばして、引っ込められていた水沢さんのそれに自らのものを絡める。フェラでもさせられていたのか、彼の口内は苦くて青臭かった。だけどそんなことは微塵も気にならないくらい、水沢さんとのキスは気持ちよかった。長いキスに、苦しそうな声が聞こえると一度唇を離し、水沢さんが息を吸ったことを確認すると再び舌を差し込む。
「うわ、情熱的〜。なに、橋本お前ホモなの?水沢のこと好きなわけ?」
「最近お前ら親しげだったもんなぁ。」
「よかったじゃん橋本、好きな子とセックスできて。」
上の口からも下の口からも水音が絶えない。
トロトロの熱い肉壁に包まれたペニスも、ぐちゃぐちゃの口内を犯している舌も、こんなに気持ちいいのは生まれて初めてだった。
「ん゛っ、んんぅ、はっ、ん、んん…っ、んぅぅ〜〜っ!」
唇を離すと2人の混ざった唾液が糸を引いた。惚けた瞳をこちらに向けたかと思うと、水沢さんはガバッと俺の首を掻き抱き、足を腰に巻きつけた。突然のことに一瞬なにが起こったのかわからない。俺の体を離すものかとでも言いたげなその行為に、俺自身も周りで見ていた先輩たちも驚く。体が一層密着し、ダラダラと涎を垂らしている水沢さんのペニスが2人の腹の間で音を立てて擦れた。
「ちょ、どうしたどうした水沢ぁ、俺らにはそんなサービスしてくれたことないじゃん」
「橋本のチンコそんなに気持ちいいのかよ〜?」
抱きついたことによって水沢さんの顔は俺の耳の真横に来た。喘ぎ声がダイレクトに直撃して、俺の興奮は最高潮まで高まる。パンパンと肌と肌がぶつかる音もどんどん大きくなっていった。
「あぁんっ!!あんっ、ん、んぅっ、あん、あ゛んっ、あぁ、ん゛ん〜〜ッ!!」
「はぁっ、は、みずさわさ、みずさわさん…っ!!」
「いぁっ、ぃく、はしも、あっ、やぁあっ、あんっ、あぁああ゛、〜〜ッ!!!!」
水沢さんが息を詰まらせ、ぎゅうぅ、と俺の首を強く抱きしめる。2、3度大きく体を跳ねさせたかと思うと、俺の腹のあたりに熱くドロドロした液体が飛び散った。我慢しきれず俺も続けて射精して、ナカに注ぎ込む。ぴく、ぴくと小さく痙攣する水沢さんの頭を撫でていると、背後から髪を引っ張られた。
「はい、おしまい」
数人がかりで水沢さんから引き剥がされた俺は、そのまま部室の外に投げ飛ばされ、バランスを崩して地面に倒れこんでしまった。先輩がスマホの画面を目の前に差し出す。夢中になっていたから気づかなかったけれど、写メを撮られていたようだ。水沢さんを組み敷いて腰を振っている俺の顔が、少しブレてはいるがしっかりと写っていた。
「動画も撮ったからな、これでお前も俺らと共犯。誰かにチクろうだとか変な気起こすなよ」
荷物を投げられ、バン、と無情にドアが閉じ、鍵のかかる音も聞こえた。再び水沢さんの泣き声混じりの喘ぎ声が漏れてきて、俺は乱れた下着も前を開けっ放しのズボンもそのままにそこから急いで立ち去った。
家に帰って夕飯をとり、シャワーを浴びて課題をやってからいつものようにベッドに入った。目を閉じると、先程抱いた水沢さんの声や表情が浮かび上がってくる。無意識のうちに俺の手はスウェットの中の下半身に伸び、水沢さんをおかずに二回抜くとようやく眠りについた。
翌日朝練に行くと、先輩たちは至っていつも通りの態度だった。あまりにあっけからんとしているその姿に、昨日のあのことは夢だったんじゃないかと思ってしまう。だけど記憶に刻まれたあの行為はひどく生々しく、とてもじゃないが夢では片付けられないレベルのものだった。
水沢さんはいつもように1時間ほど遅れてグラウンドにやってきた。「ボトル補充してきます」と練習を抜け、いつも使っている部室に向かった水沢さんの後を追い、人気が無いのを確認して声をかける。水沢さん、と呼び止め振り向いたその顔は、目元が少し腫れていた。その顔を見て俺はハッとした。思えば水沢さんはこういう顔で朝練にやってくることが何度かあった。まさか毎回あんなことを…?と動揺して、次の言葉が思いつかずに黙ってしまった俺の代わりに水沢さんが口を開く。
「……ごめんな、昨日」
「え…っ?」
まさか謝られるだなんて思っていなかった俺は面食らってしまった。本当ならこちらが土下座して謝らなくてはいけないところだ。俺から視線を逸らして目を伏せた水沢さんが続ける。
「気持ち悪かっただろ、男同士で、あんなこと…」
「そんな、……あの、水沢さん」
「忘れろ、なんて言っても無理だよな。本当にごめん。あいつらも証拠握った以上もうあんなこと強要したりしないだろうから、安心しろ…って言うのも違うか、ごめん、ごめんな…」
いつになく沢山喋る水沢さんの表情からは、この話を早く終わらせたいという意図が読み取れる。だけど俺も引き下がることができなかった。
「そうじゃなくて、俺は…っ!」
自分の貞操なんてどうでもいい。そんなことより、水沢さんの苦しそうな泣き顔、呻くような喘ぎ声、人権を無視されているかのような扱われ方。
「水沢さんは、あんなことされて、なんで……」
「…平気じゃない……ッ!!」
水沢さんは俺の目を見て食い気味に叫ぶと、すぐ我に返って俯いた。
「…平気じゃない……、でも……俺は、」
髪の毛が揺れている。震えているんだろうか。掠れたか細い声で水沢さんは言った。
「家族に、知られたくない………」
それだけ言い残すと水沢さんは走り去ってしまった。残された俺はその場から動くことができず、しばらく地面の土を見つめていた。
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