あなたとこれから(グラスマ/ローダーとライゼ)
2018/04/09 00:50

※オリジナルの主人公(ローダー/男)が喋るし動くし存在感たっぷりです。
※ライゼさんお誕生日おめでとうございました。
※捏造は標準装備です





「はい、これ」
差し出された手の中には、小さな箱が鎮座していた。緑のリボンとストライプの包み紙で飾られた箱。
「……これは?」
「今日が誕生日でしたよね、ライゼさん」
なるほど、これはその贈り物というわけだ。合点のいった顔でライゼは箱を受け取った。
「ありがとう。開けても?」
どうぞ。にこにこと笑いながらライゼの手を見て、落ち着いた動きに少しだけ落胆した。もう少しくらい、嬉しがって手を縺れさせても良いんじゃないか。あんまりな願望である故に口には出さないでおくが。
「……ピアスか」
もう開けてるんだが。
そんな一言が聞こえてきそうな顔で、ライゼはまじまじとそれを見る。翡翠のラインストーンが銀を彩るシンプルなリングピアス。耳朶にはもう開けているから、これはまた別のところにでも着けようか。そんな事を考えて、ふとローダーの方に目をやる。真っ赤な頬が、ライゼの目を釘付けにした。
「……に、あうと、思ったんですが」
「ありがとう…………どうしたんだ?」
ううう、と呻き声が聞こえる。顔を手で覆って火照った頬を隠しながら。
「あの、すみません、捨てていいです」
「いや捨てないが……本当にどうした」
「いえ、あの、ライゼさんがそれを着けてるのを想像して」
なんだか、俺のものにしてしまったような、気がしたんです。
なんだそれはと言いたかったが、あまりに友人や仕事仲間にする表情や態度に見えなくて、ライゼはなんだか自分までもが相手と同じ気持ちになったような気がした。
つまり照れた。
「……恋人じゃああるまいし……」
「ええ、そうなんですけど」
顔を赤くした二人が向き合う様は、なんだか愛の告白をした後のような甘酸っぱさと気まずさがない交ぜになった雰囲気を醸していた。
「あの、本当に捨てて下さい。また別のプレゼントを用意しますね」
「え、ああ、いや……わかった」
そんなやり取りの数日後には、ライゼにまた贈り物が届くのだが、このときのピアスは未だにライゼの私室にある机の引き出しに仕舞われたままだった。
着ける日は果たして来るのかどうか、ライゼにもわからないままである。

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