第十二話

「堪らぬ・・・」

そう呟き、自分の口端から零れそうになる涎を舌で舐め取る。
もう少し愛撫を続けるつもりだったが、どうにも辛抱できそうになかった。
扱く手を止め、中にあった指を抜く。

「・・・・・・は・・・・」

ようやく責め苦から解放されたことに政宗の口から息が漏れる。
しかしそれも束の間で、強く腰を掴まれれば指よりも熱いものが宛がわれた。
政宗の一つきりの瞳が見開かれ、幸村を見る。
幸村もまた政宗を見ていた。

「決して傷つけませぬ。」

生娘に掛けるような言葉だな、と政宗は思った。
初物なのは変わりないが、自分は女じゃない。
そんなに不安そうな顔をしていたのか。

「そんな御託はいい。」

そう言い放つとそのまま押し黙る。
これ以上幸村に色々と悟られたくなかった。
すると幸村は無言で頷くと、いよいよ腰を進めていった。



予想を上回る圧倒的な質量にぎりぎりと奥歯を噛む。
香油のお陰で幸村の言った通り傷はつきそうになかった。
だが、じわりじわりと進入してくるそれは政宗の自尊心を打ち砕いていく。

「う・・・・ぐ・・・・・」

痛みと相反する何かが押し寄せてくる感覚に汗が浮く。
これは何なのか。
・・いや、分かっているが、認めたくなかった。
この感覚に身を任せれば自分はどこまで堕ちるのだろう。
女のように嬌声を上げ、あっけなく果ててしまうのか。
そんな姿は絶対に晒したくない。
色々な刺激が政宗の体を駆け巡る中、必死にそれに抗おうとする姿は幸村を殊更刺激した。

――本当に堪らない

先を急ぐ気持ちを抑えつつ進めた腰も奥まで行き着き、政宗の肌と自分の肌がぴったりと密着した。
そしてゆるゆると律動を始める。

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