第十一話

何かを探るような音に政宗は視線を向ける。
すると幸村の手には小さな壺が握られていた。
なんとなくその中身に察しが付く。

「変なもん入れてやがったら叩っ斬るぞ・・・。」

本気でそうは思っていなかったが、負け惜しみで悪態を吐く。
しかし幸村の方は余裕のある笑みを浮かべ、政宗に答えた。

「ご安心召されよ。愛しい人にそのような無体を働く某ではござらぬ。」

蓋を開けると、香油の甘い匂いが鼻を掠めた。
他人はおろか自分でも触れたことのない箇所への刺激に身構える。
幸村の指二本にはてらてらと光る油が絡め取られていた。
その指を政宗の後孔に滑らせる。


「・・・・・!」


得も言われぬ感覚がそこから瞬時に全身へ広がり、足の先まで硬直した。
肝心なそこは突然の刺激に固く閉ざしている。
幸村はその周りをゆっくり円を描くように撫でていく。
すると体温と摩擦で油がじんわり温かくなり、若干緊張が解れていくような感じがした。
それを察したのか、指が一本ゆっくりと進入してきた。
途端に脂汗がぶわりと浮く。
幸村の指は案外太い。六爪を扱う政宗の指よりも、だ。
それがたった一本入っただけでこのざまである。
その後に入るものの事を考えると、些か後悔の念が押し寄せる。
しかし、政宗自身で幸村を受け入れる事を選んだのだ。
今更それに口を挟むなど無粋な真似はしない。
内を蠢く感覚に政宗は無言で耐えた。
しかし、ある一点に幸村の指が当たると脳天を直撃するような衝撃が起きる。

「は!うぅっ!!」

予期しない己の甘い声に手の甲を押し当て、必死に噛み殺す。
政宗の今までとは違う反応を幸村が見逃すはずもなく、器用に指を動かしてはそこばかり攻め始めた。
萎えていた政宗のものが徐々に質量を持ち、また先端が濡れ始める。
押し殺された声は荒い息となって、幸村の耳に届いていた。
隻眼を瞑り、必死で耐える姿も魅力的だと思った。
もっと快感を与えればどうなるのだろう。
後ろを攻めながら、しとどに濡れる政宗のものに手をのばす。

「う”!!」

自らの液が潤滑の役割を果たし、上下に動かす度にぬちぬちと音を立てている。
前後からの快感が入り混じり、思考が吹っ飛びそうになる。
それを手の甲にぎりりと歯を立て、必死にとどめようとした。
口中に鉄の味が広がるが、政宗にそれを気にするような余裕はない。
その様が幸村の内にある炎を更に燃やすことになる。

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