第三話

−キィィィン!−


槍を伝って自分の腕が痺れるのを感じた。
かろうじて離さなかったもののその衝撃は大きい。
元親の放った槍はいとも簡単に素手で弾かれた。
その事で僅かに動揺したのを狼男は見逃さなかった。
素早く元親の懐に入り、雷を纏った拳を鳩尾に放った。

「ぐは・・・っ・・。」

こんな重い一撃を喰らったのはいつぶりだろうか。好敵手の毛利とやり合っている時でさえこんな事はない。
元親は嘔吐感を押さえながら溜まらず膝をついた。
そこに間髪入れず首に衝撃が走った。
狼男が手刀を首に入れたのだ。
「が・・・・・。」
薄れゆく意識の中、元親は野郎共の笑顔を浮かべていた。



狼男もとい片倉小十郎は元親が地に伏すのを見ていた。
完全に意識がないのを確認すると、自分より大きい元親の体を軽々と肩に乗せた。
「まったく政宗様も物好きだ。人間を屋敷に招くなど。」
小言を言いながら小十郎は元親を担いだまま木々の間を尋常ではない速さで駆け抜けていった。


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