第二話

「おい。質問に答えろ。」
男の声ではっと我に返る。
今はそんな事考えている時ではない。
狼男と戦るか。はたまた逃げるか。とりあえず質問に答えるか。
「分かんねぇよ。道に迷ってここに来ちまったんだよ。」
その答えに狼男の眉がぴくっと上にあがった。
「道に迷った?・・・結界に穴があったのか・・・?政宗様にかぎってそんなことはないと思うのだか・・・。」
何やらぶつぶつ独り言を言っている。
とりあえず元親は狼男に帰り道を聞いてみることにした。
「兄さん、悪いが帰り道を教えてくれないか?」
素直に答えてくれるか分からない。ただ、答えてくれなくとも力ずくで聞き出すまでだ、と元親は考えていた。
そんな考えを知ってか知らずか、肩からパリパリと放電している狼男の口からは拒否の言葉が出た。
「答えは否、だ。この領域に許可無く入った輩は誰であろうと排除する。」
やはりこうなるのか。元親はため息をついた。
「問答無用ってわけか。・・・じゃあアンタを殺って推し通らせてもらうぜ。」
(一筋縄じゃいきそうにねぇな。)
元親は槍を滅多にしない両手持ちで身構えた。


その時、ふいに狼男の耳がぴくぴくと動いた。
「・・・・・・政宗様。よろしいのですか?」
まただ。誰だまさむねって。こいつの主か?
「・・・承知いたしました・・・。」
そういうと狼男から殺気が少し薄れる。
「おい。主がお前を連れてこいと仰っている。おとなしくついてこい。」
狼男は面白くなさそうに溜息まじりにそう言った。
こっちは戦る気になってるんだ。今さらやめるつもりは毛頭ない。
「嫌なこった。さっさとやられて道を教えな!」
元親は炎を伴った槍を振り下ろした。

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