第十二話

深く口付けを交わしながら、政宗を押し倒す。
正直、こういう類は触り程度の知識しかない。誰かが口にするごとに避けてきたし、知ろうとも思わなかった。
しかし、これが人間の本能なのだろうか。自然と体が動き、政宗の体に触れ、曝いていく。
その度に政宗の体は跳ね、幸村の情欲を掻き立てる。

邪魔な布をすべて剥ぎ取り、幸村の眼下に竜の裸身が晒された。
流石は武人と言うべきか、政宗の体は見事に均整がとれたものだった。
しかも筋肉質なのに男臭さが無く、女のような艶やかさがある。

「俺だけ脱ぐなんてfairじゃねぇな。アンタも俺に見せろよ。」

袖から手を滑り込ませ、幸村の腕をさする。
幸村は政宗の手を取り、愛撫をしながら自らの着物を脱いだ。
そして政宗と同じ、何も身に付けていない姿になる。
その姿を下から見上げ、隻眼を細めた。

「いい体してんな。流石は紅蓮の鬼、といったところか。」
「独眼竜殿に誉めていただくとは、某、果報者ですな。しかしー。」

幸村は政宗に覆い被さり、首筋に舌を這わせる。

「んっ・・・。」
「政宗殿こそ見事でござる。そして真に美しい・・・。」

舌で政宗の肌を堪能し、所々に口付けを落とす。

「・・・han・・・俺の見目を誉める奴がいるんだな・・・。」

幸村は政宗の言葉に驚き、顔を上げる。

「片目しかない欠陥品を愛でるなんざ変わってるぜ。」

どうやら政宗自身は自分の容姿に自覚がないらしい。
それもそうか、と幸村は思う。
政宗は奥州を統べる大大名だ。しかも戦場では真っ先に敵陣に切り込んでいく勇猛さがある。
国主としての力量さなどを賞賛されることはあっても、その美貌を誉める不届きな家臣はいないのだろう。

「その変わり者を好いている政宗殿も変わっておりますな。」
「言うじゃねぇか。」

口角を上げ、不適に笑っているものの、目元はうっすらと色づき、妙に色気が漂っている。
薄く少し濡れた唇に誘われるよう、幸村は再び重ねた。

「・・・ふ・・・んっ・・・。」

鼻から抜けるような甘い声が耳を刺激する。
無骨な手が政宗の体をまさぐる。
胸の頂に触れた時、体が少し大きく跳ねた。

(ここは他と違うのか?)

政宗の反応をもう一度確かめるべく、軽くつまんでみる。

「んんっ・・!」

口を塞がれているが、一際大きく籠もった声を発した。
幸村はうっすらと目を開け、政宗の表情を盗み見る。
眉間に皺を寄せ、何かに耐えているようだ。頬はほんのり上気し、息が少し荒い。
政宗から小さく音を立てて唇を離す。
そのまま政宗の色付いた部分を舐め上げた。

「あっ・・・!」

過敏な反応を示す政宗に気を良くしたのか、片方を吸いながら、もう片方を指で弄る。

「んっ!・・・は・・・やめ・・・。」
「そのような声を上げられて止める道理はござらん。」
「ぅ・・・てめ・・ぇ・・・。」

押しのけようとする政宗の手首をがっちり掴み、逃げられないよう床に縫い止める。
今は昼間と力が逆転しており、政宗は幸村の掴む力に抗えなかった。

「政宗殿。」
「・・・んっ・・・。」
「このように色付いてきましたぞ。」

政宗は何事かと幸村の視線の先を見る。
そこには舌と指で弄られ、真っ赤に変わったものが二つあった。
政宗の頬が一層羞恥で染まる。

「なんともお可愛らしい・・・。」
「男に可愛いなんて・・言うんじゃね・・え。」
「某、胸に思うことはすぐに口に出てしまう故、お許し下され。」

「あっ・・んっ!!」

不意に政宗のものを撫で上げられ、甘い声が響く。

「このように濡らされて、如何なされた?」

幸村は自分が触れる度に反応を示してくれる政宗が愛おしく、いじらしく思う。
もっと違う表情を見たい、もっと感じている声を聞きたいと欲求が次々と出てくる。
故に、それが言葉で責めるような形で外に出てきた。
その事が政宗には少しおもしろくない。

「hum・・てめぇもこんなにおっ立てやがって・・よ!」

仕返しとばかりに幸村のものを強く掴んだ。

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