第七話
「しばらくあの店には行けねぇなぁ。」
溜息まじりに政宗が呟く。
幸村が大声を出した後、代金を払い、二人は逃げるように店を出て行ったのだ。
政宗がそう言うのも無理もない。
「某のせいでござるな・・・。誠に申し訳ござらん・・・。」
項垂れる幸村はまともに政宗の顔を見ることができず、一歩後ろを歩いていた。
「オラ、シケた面すんな、よ!」
政宗は立ち止まり、幸村の背中を思いっきり叩いた。
「い、痛いでござる!」
喚く幸村に政宗は鼻で笑う。
「アンタ酒は飲めるか?」
「・・・・はぁ。」
「悪いと思うなら、俺の晩酌に付き合え。」
「!」
「拒否は認めねぇぜ。You see?」
「おお!ぜひご一緒させていただきたい!」
「チッ、喜んでんじゃねぇよ。」
今まで落ち込んでいた幸村だが、政宗の言葉にぱっと顔を輝かせ喜ぶ。
その姿に悪態をつきながらも、政宗は若干顔を綻ばせていた。
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