第十一話

政宗の自室の前まで来ると、小十郎は何も言わずその場からいなくなった。
障子を開ける前に声を掛ける。
「・・・政宗、入るぞ?」
しばらくすると返事が返ってきた。
「OK.いいぜ。」
スッと障子を開けると、この屋敷で目を覚ます前に嗅いだ上等な香の匂いがしてきた。
部屋は薄暗く、行灯の光が部屋の端で揺らいでいた。
その横で濃い青が動く。
その青は政宗が着ている着物だった。薄い光を浴びて、時折輝いている。
着物からは艶やかな白肌が晒されていた。
その情景に元親は思わずごくっと喉を鳴らした。
政宗は肘掛けにもたれて手招きをしている。
「どうした?こっち来いよ。」
言われるがまま政宗の目の前に座った。
「政宗・・・。その、なん・・て・・いうか・・・。」
「Han?なんだ?」
「き・・綺麗だ・・。すごく・・・。」
元親は普段言い慣れない言葉だが言わずにはいられなかった。
それだけ政宗は美しかった。
「着物が?」
意地悪く政宗が聞いてくる。
「っ違う!・・・お前・・自身がすごく綺麗だ!」
真っ赤になりながらそう答える元親を見て政宗はククッと笑った。
「悪い、Jokeだ。誉めてくれて嬉しいぜ。」
チッと舌打ちしながら元親は言う。
「・・・・お前も片倉さんも性格悪いぜ。」
「神や妖怪はみんなこんなもんだ。慣れろ。」
そう言うと政宗は髪を掻き上げる。香の匂いが強く香ってきた。
「さて・・・チカ。お前は賭けに勝った。今から夜が明けるまで俺の時間をお前にやろう。」
金色の瞳が怪しく光る。
「どうやって俺を楽しませてくれるんだ?」
政宗の顔が元親の目の前まで迫ってきた。
弧を描く唇からは鋭い牙が見え隠れする。
元親は興奮で頭がおかしくなりそうだった。
今まで見たことない宝が目の前にいる。
その宝が自分に手を差し伸べている。
思うように体が動かない。
政宗は更に煽るように両手を元親の肩に乗せ、自身の足を元親に絡ませながら言った。
「Come on.」
元親は自分の中の何かが切れたような気がした。
「煽ったこと後悔・・するなよ!」
欲に塗れた声で言うと、そのまま政宗を後ろに押し倒した。

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