ひまわり


昼休み、会議を終えて食堂にやって来た堂上と小牧は手塚を虫除けにしてお昼を食べている柴崎を見つけた
「珍しいな、お前ら二人か?」
「あら、堂上教官に小牧教官。会議お疲れさまです。笠原をお探しですか?なら今頃、外の花壇の前にいると思いますよ」
「誰も笠原のことは聞いてないんだが」
「聞きたそうな顔してましたしー?」
「……」
「柴崎さんそれくらいにしてあげてよ。で、何で花壇にいるの?」
「今日の館内業務で何かあったみたいです。最近の笠原は落ち込むとずっとあそこにいますよ」
「…わかった。行ってくる」
「はんちょー午後の始業に遅れちゃダメだよー?」
「わかってる!」

「くすくす……堂上ほんと素直になったなぁ…で、柴崎さん。ほんとは何があったか知ってるよね?」
「もちろん、でもそれは堂上教官がなんとかしてくれますよ」
「あー堂上が絡んでるのかな」
「さすが小牧教官」
「まぁね、これは後で聞き出さないと」
「あ、私にも情報くださいね」
「もちろん、柴崎さんもよろしく」
「わかりました」
「……でもなんで花壇?笠原さんは泣きたくなったら誰もいないとこに行くんだろ?」
これは以前堂上が部屋飲みの時に愚痴っていたから知っている
「今あの花壇にひまわりが咲いているのご存じですか?」
「うん、すごいよね。毬江ちゃんも喜んでたよ」
「あ、それは嬉しいですね。業務部で育てたんですよ。で、そのひまわりが鍵なんです」
「ひまわり?」
「毬江ちゃんに聞いてみたらどうですか?ひまわりの花言葉」

*******************

堂上は郁のもとへ急いでいた
柴崎が場所を知っていると言うことは郁は泣いていないということだ
堂上が花壇へたどり着くと柴崎の言った通り郁がいた
その顔は何か思い詰めたようで一瞬声をかけることを躊躇った
だがこのままにしておけない
「笠原」
沈んでいた顔が驚きに変わる
「あ、え、きょっ…教官、どうしてここに?」
「食堂にいったらお前がいなくてな、柴崎に聞いたらここだと教えてもらった。こんなとこにいたら昼飯食いっぱぐれるぞ、ご飯食べずに午後の業務に支障出す気か?」
「う、私だって食べ物以外を優先することもあるんです!」
「ほぅ、そしたら明日は雨だな」
「失礼です!ほんと失礼千万なんですけど!」
「あぁ、悪かった。で、なに考えてた」
「……今日の館内業務でちょっとミスしちゃって業務部の人たちに怒られちゃったんです。堂上二正もあんなに指導して結果に結ばれないなんて教えがいないわよねって言われちゃって。確かにその通りかなって思いました。」
誰だ、こいつにそんなこと言った奴は
「そんなことないだろ。確かにお前の館内業務は壊滅的だがな」
「う……。」
「だが最近は使えるようになってきた。お前はお前なりに成長している。」
あまり急いて成長するなと思うくらいだと心で呟き堂上は苦笑した
「ほんとですか?」
「あぁ」
「よし!午後から頑張ります」
「励めよ」
ぽんぽんと頭を撫でてやるとほんの少し残っていた不安そうな顔がなくなりほっとした。

「そういえばお前なんで花壇にいたんだ?」
珍しく女らしいところにいたなと言ってやると郁は子どものように頬を膨らませた
「私、この花壇のひまわり好きなんです」
「お前みたいだしな」
「そうですかね?」
「明るいとことか太陽に向かってまっすぐに伸びていくとことかそっくりだろ」
そう言ってやるとさっきの拗ねた表情がなくなった。
よくも悪くも単純なやつだなと思う
「えへへ、教官にそう言ってもらえるなんて嬉しいです。でもそれだけじゃないんです。ひまわりを見ていたら自分の決意を新たにできるんですよ!」
「どういう意味だ?」
「…内緒です!ほらご飯食べに行きましょう!腹が減っては戦は出来ぬ、ですよ!」
「あ、ちょっと待て、こら!走るな!」


その夜、事情を聴きに来た小牧にひまわりの花言葉を教えられ頬が緩み、爆笑されてしまったのはまた別の話

ひまわりの花言葉『貴方だけを見つめる』

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