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カツン カツン



闇夜。

月の光だけが、その場を照らしていた。

そんな闇の中を歩く血に濡れた2つの影。



「時間かかり過ぎちゃったかなぁ・・・」

「本当だ、馬鹿ツナが」

「馬鹿ツナいうな」



ツナ、そう呼ばれた青年は静かに溜息をついた。


彼はマフィア界最強のボンゴレファミリーの10代目ボス沢田綱吉。

そして、その隣にいるのはマフィア界最強のヒットマンリボーンだ。

今日は、珍しくボスであるツナが任務に出た・・・・というわけでもない。商談だ。



つい最近、ボンゴレファミリーを裏切ったファミリーがあった。

マフィアの世界で、裏切りなど言語道断。即排除・・・すべきなのだが。

ツナはそのファミリーにチャンスを与えた。二度と裏切らないと誓うなら見逃すと。

今日は、その返事をもらいに来たのだ・・・「YES」の代わりに銃弾を受け取った。

まぁ、そんなことぐらい予想していたからリボーンを連れてきたわけで・・・ものの数分でそのファミリーは壊滅した。




「たくッ。なるべく殺すなだの、犠牲は少なくしろだの傷つけるなだの。あめーんだ、お前は」

「だって俺・・・殺しとか嫌いだし。悲しそうな顔を見るのは嫌なんだ・・・」




なるべく争いは避けたい。

そんなツナの・・・優しさというべきか甘さというか・・・から普通なら壊滅のもも話し合いが入るようになった。

もちろん、それで解決できることなど1%にも満たない。

そんなツナだからこそ惹かれ、つき従っているとはいえ・・・面倒なことには代わりなかった。

疲れたように溜息をつくリボーンを見て、ツナは謝ろうとしたが・・・・



グシャッ


何かが潰れるような音に邪魔され、言葉はかき消された。


グチャッ グチャッ ビチャッ べちゃ


耳を塞ぎたくなるようなグロテスクな音が、その場に響いた。

ツナもリボーンも顔をしかめる。

ここはボンゴレの敷地内で・・・・こんな音が・・・聞こえるはずないのだが。

不審に思い、2人は走った。



「っ」

「ナイフで切られたか?」



音が近づくほうに走っていくと、何かが落ちていた・・・


誰でも見たことのあるそれ。

誰も見たことがないそれ


人の足、手、内臓、血・・・・皮膚・・・


いくらマフィアといえど、こんなものそうそう見ない。

嫌な予感がする・・・


ツナとリボーンは・・・音のする・・・林に静かに歩いた。

林の向こうには青々とした草原が広がっているはずだ。

音はそこからだった。

ごくりと唾を飲み、意を決して林を抜けると・・・・青々とした草原なんてなくて・・・・


真っ赤に染まった草原が広がっているばかりだった。


その中心に座っている一人の少女。音の出所は彼女だった。

後姿から見るに・・・10歳前後といったところだろう。



ピチャッ ぴちゃっ


歩くたびに響く音に不快感を感じながらも、リボーンとツナは少女に近づいていった。

その音に気付き、少女は振り向く。



「っ!?」



思わず息を呑む。何を言おうか考えていたのにツナは言葉を失った。


その少女の顔は・・・・・血と肉片で汚れていたから。




「お前・・・・その手に持っているものは・・・・」

「コレ?欲しいの?いいよ、もう要らないもん」




少女はつまらなそうに、もっていたものをツナの足元に投げ捨てた


べちゃっ


嫌な音が響く。


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