Four

「ツナ…どこー!?もう!」




雲雀との戦いを中断し、夕翡はツナを探していた。だが並中に言ってもツナはおらず、これはもういつも通りサボったのだろうなと溜息をつく。

まあそんなことが出来るのも今日までさ。周りの人の怪訝そうな顔も気にせず夕翡はこれからのことを思いにやりと笑った。




「ただいまー。お母さん、ツナ帰ってきてる?」

「えぇ、もさぼりなの?」

「うん」

「まったく。ツナと一緒にお説教よ?」




奈々は笑いながら言った。学校をサボったというのにこんな甘い対応をする母親は世界広しと家でも奈々ぐらいだろう。

この反応から言ってまだ夕翡のお目当ての人物は到着していないようで。夕翡はセーフとばかりに胸を撫で下ろし、思わずガッツポーズ。それから、少しだけ顔をしかめた奈々に続いてツナの部屋に向かった。ら




「綱吉ー。学校から電話あったわよ。また途中からサボったんだってねぇ。あんた将来どうするつもりなの?」




「別に〜」

「母さん別に良い高校や大学に行けって言ってるんじゃないのよ!!」

「そうだよ!」




奈々は堂々とツナの部屋に入り、ツナを見る。ツナもやはり中学生。勝手に親に入られたり、掃除されたりという干渉が不快な年頃で。




「黙って部屋に入るなよ!」




ノックもせず何も言わずに扉を開けた奈々に向かってしかめっつらで怒鳴った。だが夕翡はそんなことまったく気にする様子もなくツナに詰め寄る。

その顔は今にも泣いてしまいそうで、何もした覚えがないツナはギョッとしてしまった。




「そんなことよりツナ、何で私に黙って帰っちゃったの!一緒に帰るって約束したよ!!酷いよ!わたし一生懸命探したのに!」

「え、ごめん」

「謝って済むなら警察は要らないのよ!よりによって今日!」

「今日?」

「今日は、家庭教師が来るのよ。良いチラシが入っててね!きっと凄腕の青年実業家庭教師が来るのよ!」

「うん!そうだよ!」




一致団結?している2人を見て、ツナは呆れたように溜息をついた。何を夢見ているのか知らないが、現実はそう甘いものではないのだ。と中学生らしいすれたことを心の中で思う。




「俺家庭教師なんてぜってー嫌だからね。どうせ何やったって無駄なんだって!」




半ば投げやりに吐き出された言葉。奈々はその言葉を否定しようとしたが、




「チャオッス」



その時、入ってきた。一人の赤ん坊が。黒いスーツに身を包み、頭にはボルサリーノを被っている。しかもその帽子にはカメレオンが乗っていて、まったくもって赤ん坊らしくない格好だった。



「3時間早くきちまったが特別に見てやるぞ」

「僕…どこの子?」




奈々は困惑しながら赤ん坊を見ている。それもそうだ、突然こんな赤ん坊が入ってきて困惑しないほうがおかしい。

つまりただ一人、目を輝かせている夕翡がおかしいのだ。




「ん?俺は家庭教師のリボ−ン」

「まぁ!」

「プッ」




ツナは笑い、奈々は驚いたようにリボーンを見た。まぁ、誰だって赤ん坊が家庭教師だと言われたら…。

夕翡は両手を組み、リボーンに見惚れているが。




「リボーン様っ。(あぁ、リボツナ!)ツナ、そんなに笑ってると死んじゃうよ?」

「え?」

「お前が夕翡だな?」

「そうだよ。よろしくね、リボーン!」

「ちょ、夕翡。本気で信じてるの?」

「当たり前♪お母さん、家庭教師も着たことだしツナに勉強させようよ!」

「そうね。それじゃあ、リボーン君。ツナをお願いします」

「任せとけ」」




奈々はリボーンに向かってお辞儀をしてから、笑って部屋から出ていった。

残されたのは夕翡、ツナ、リボーン。

は嬉しそうにリボーンを見ている。ツナは怪訝そうにリボーンを見ている。リボーンはニヒルな笑みを浮かべているばかりで何を考えているのか分からない。




「リボーンに真面目に会えるなんてっ、感激」

「そういや、何でお前は俺のこと知ってんだ?」

「えぇ〜。ファンだから?リボーン様は有名なんですよっ」




笑いながらリボーンのほっぺをつんっ、とした夕翡に若干の苛立ちを覚えたものの、大人の余裕で流す。リボーンは夕翡は変な子だということを悟り、ツナに目を移した。

賢明な判断である。




「とりあえず、ツナ。俺はリボーン。お前をマフィアのボスにするために着たんだぞ」

「はぁ!?」




それからリボーンの長い説明が始まった。自分のこと、ツナの父親のこと、ボンゴレのこと、次期ボス候補であること。

は暇そうに聞いていた。




「と、言うわけだ」

「ツナには難しい話だったね〜。まぁ、これからボンゴレ10代目として頑張れ!」




最後まで人事のような夕翡の言葉を、果たしてツナは聞いていただろうか?聞いていたにしては、顔がポケーッとしている。まるで現実感がない話に脳内処理が追いついていないのだ。




「おい、一つ勘違いしてねえか?俺はツナだけのかてきょーじゃねーぞ」

「…え?」

「お前もボス候補だ。つまり俺の弟子。覚悟しとけよ」

「へえ?」




にやりと笑ったリボーン。

一秒遅れてその言葉の意味を理解した夕翡の悲鳴が家中に轟く。奈々はそれを聞いても、あらあら夕翡ちゃんは元気ね〜と笑っていた。

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