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*一部飲酒表現がありますが、20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

これが夢"小説"であり、ヴァンパイアだから、ということで納得ください。

夢とリアルをごっちゃにする人はいないとは思いますが・・・










*

「・・・・それで、どういうことなのよ。」



とても広い部屋。

咲はソファに座りながらツナを睨みつける。

ツナはと言えば、ワインを飲みながらくつろいでいた。

その周りには・・・やはり、男たちが付き添っている。



ツ「まず、ヒトのいう二重人格は大概事故なんかの心的障害が原因でありもしない自分を作り上げ、人事のように思う。自己催眠、現実逃避と似たようなものだろ?」

「えぇ。」

ツ「けど、俺・・達の場合は本当の二重人格。正確に言えば人間の部分はお前の言う綱吉で、ヴァンパイアの部分が俺。

「・・・・・・・・・は?」

ツ「残念だけど本当。綱吉が引け目や劣等感なんかから現実逃避した結果じゃない。」

「これは証明されていることなんですよ。実際、綱吉君と彼、綱吉であるときは体の細胞が違いました。」

ツ「俺から聞いただろ?魔払いに襲われても利かなかった。つまり、お前の知る綱吉であるときは人間の細胞になってるんだ。しかも多分・・・聖血の血が混じってる。」

「聖血って・・・ヴァンパイアの癖に。」

ツ「俺にも微かにってとこかな。どうしてこうなったのかは分かっていないけど。」



ツナは肩をすくめる。



「じゃぁなんで・・・あんたはツナのこと知っててツナはあんたのこと知らないの。」

ツ「さぁ。精神の違いじゃない?俺は綱吉が人間でいる間見ている世界を一緒に見れるけど俺が見ている世界は綱吉に見えていない。寝てるから?」

獄「それで10代目・・・なんでこいつにこんな話を?」

ツ「愚問・・・だろ。」

獄「ですが!」

「え??」

ツ「まぁ、分かってない馬鹿が一人いるし、説明するか。」

「なぁっ!」



ツナは呆れたように溜息をついた。

視線と話の流れで、ツナのいう馬鹿が自分だと分かり咲は顔をしかめる。

思わず立ち上がると、肩から痛みが全身に広がった。



ツ「だって人間でいる間の俺のことなんて誰も監視出来ないじゃん?」

雲「いいくるめておくよ。」

ツ「無理無理。久しぶりの人間世界で興奮してるし、明日も抜け出そうって考えてるよ。」

「ツナの考えが分かるの?」

ツ「分かる。もしかしたら元々は同じ精神なのかもね〜。ま、ここまで性格が違ったらそれはないか。
 とりあえず、その人間でいる間は咲に護衛を頼みたいわけだ。」

「・・・・・・・・・・・は?



驚いたのは咲だけだった。

他のメンバーは分かっていたようで、獄寺が若干落ち込んでいるけれども驚愕の様子はない。



「ちょ、ちょっと待ってよ。なんで魔払いがヴァンパイアの護衛なんか!!」

ツ「君が護衛するのは人間だよ。」

「でもっ!危なくなったらあんたが出ればいいじゃない!」

ツ「馬鹿。俺の話聞いてた?」

「また馬鹿って!」

ツ「俺は吸血鬼なんだ。すぐに消えはしないだろうけど、太陽の光は苦手なんだよ。」

「っ・・・、」

ツ「危ないのはヴァンパイアだけじゃないしね。人間のすりや強盗、殺人気なんてのも。絶対たち打ち出来ないよ、綱吉。」

「そういえば・・・なんで襲われてたのよ。」



ヴァンパイアがヴァンパイアに襲われる。

これは、今考えるとおかしいことではないか?と咲は思った。

だが、すぐにツナがわけを説明する。



ツ「俺を吸血鬼の長になるのをよく思わない連中だよ。人間でもあるだろ?反対勢力ってのは。」

「・・・あぁ。」

ツ「吸血鬼の中には、俺に人間の部分があることを知るものが多い。そいつらが主に反対してるんだ。」

「・・・なんだ。あんたの性格ゆえじゃないんだ。」

ツ「・・・そういうこというんだ?



にこっとツナが笑った。

その笑みにゾクリと背中に震えが走る。

同じ笑いでも、全然違うものだった。



ツ「ククッ。怯えてる。」

「怯えてない。」

ツ「強がったって無駄。なんとなく分かるもん♪ま、いい。とりあずそういうことだから自己紹介して。」

獄「チッ。獄寺隼人。10代目の右腕だ。10代目を幼少のころからお守りしている。10代目に何かあったら果たす!!」

「・・・・仮にもその10代目を昼の間だけ守る私になんてことっ。お前が守れねぇから守ってやるんじゃねぇかよ。

獄「んなっ!!」

「ぁ、本音が。」



しまった、というように口に手を当てる咲。

獄寺の手がフルフルと震え、必死に怒りを抑えているようだ。



山「俺は山本武。獄寺と同じくツナがこーんな小さいころから護衛してるのな。」

骸「六道骸です。」

ツ「こいつ、俺を襲いに来た反対勢力。俺に負けたから部下になったんだよなー?」

骸「クフフ。勘違いしないでいただけますか?僕はただ貴方を殺す機会をうかがっているだけです。綱吉君は弟のようで可愛いですがね。」



バチバチバチバチ

2人の間に火花が飛んだ。

どちらも笑みなだけに、怖さが増す。



獄「おい雲雀!おめぇもしろよ!」

雲「面倒。」

「雲雀さんの名前なら知ってますよ。」

山「知り合いだったのか?」

「ていうか、覚えてないんですか。私が彼に噛まれたこと。」

獄「んなっ!10代目が死にそうになったのはおめぇのせいか!!」

「人聞きの悪いこと言わないでください。私は被害者です。」

雲「綱吉が血を飲まないから。」

「・・・ん?そう言えば、じゃぁ、血を拒否したのってツナですよね?なんで聖血の血を飲んでツナが苦しんで??」



仮に自分の血を吸ったのがヴァンパイアだとしよう。

それならばすぐに灰になるはずだし、血を拒否することもないだろう。

咲が首を傾げていると、それに答えたのはまたもやツナだった。



ツ「人間の細胞っていったけど、正確には"酷似"した細胞。俺達が血を飲むのはそこから栄養分を得るためと自分で血を作れないから。」

「血を作れない・・・。確かにそう聞いたことあるかも。」

ツ「なぜかしらないけど、綱吉は完全には血を作れない。生きるためには自分で作る分じゃ足りないんだ。だから少しは飲まないといけない。」

雲「けど、本人が自覚してないんだ。"吸血鬼じゃないから血は要らない"そう思ってる。」

骸「そしてだんだん足りなくなってくるとそこにいる綱吉ではないヴァンパイアの本能・・・とでもいうんでしょうか。それが暴走するんですよ。そこら辺はよく分かっていませんが。」

山「結局、血を吸うんだよな。それはツナもちゃんと覚えてる・・・はず?」

雲「それこそ人間のいう多重人格のように都合よく忘れてるんだろうね。」

山「危険なのは、そのときに・・・普通の吸血鬼と違って飲む分を抑えられない。殺しちまうこともあるってことだ。



咲は耳を疑った。

"殺す"ことがある。

果たして、ツナがそんなこと本当にするのだろうか・・・



ツ「できれば綱吉に血を少しずつ飲ませてあげて。綱吉なら咲の血でも平気だろうし。」

「・・・・・・分かった。」

ツ「物分りがいいと助かる。」

「勘違いしないで。別にあんたのためじゃない。」



咲はツナを睨みつけた。

自分が助けるのは吸血鬼ではない、あくまで"ツナ"だと。



ツ「いいんじゃない?明日ここにおいでよ。」

獄「・・・10代目には、お前がここを見つけたとたん疲れがピークに達して倒れたとでも言っておく。」

「わかった。」



話は終わった。

咲は立ち上がり扉に手をかけ・・・止まる。



「・・・・・何。」

ツ「俺、咲のこと気にいったから覚悟しておいてね。」



唇に、唇が触れた。

そう頭で理解する前に蹴りがツナを狙っていた。


ドガッ"



「っー!?!?最低!!



バンッ!



ツ「ククッ。久しぶりに、面白くなりそうじゃん?」



綱吉は、笑っていた。



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