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「私を買ってください。」
捨てられた私には体を売るという選択しかなかった。
今年で多分12歳。
貞操概念なんてものはなく、もともと売られて愛玩人形として生きていた。
その人に捨てられてからは、誰のものにもならずに娼婦のように働いていた。
「降ってきたなぁ・・・」
雨の日は嫌い。
客を取るまで寒いし、服がぐしょぐしょになるし。
運が悪かったら外でヤられる・・・・
だから嫌い・・。
ジ「何をやってるんだ?」
そんな時話しかけてきたのは1人の男。
愚問・・というものだ。
見れば分かるだろうに。
「見て分かりませんか?」
ジ「売女か?」
「はい。」
ジ「ふむ。」
何が面白いのか、男はにやりと笑った。
子供とヤるのも一興とでも思ってるのかもしれない。
それなりに身なりはいいから金持ちだろう。
ジ「いくらだ?」
「お好きなように。」
ジ「決めてないのか?」
「はい。」
お金の基準がよく分からないから面倒なのだ。
高すぎたら売れないし、生活に必要な分のお金さえもらえればいい。
私がそう答えると、男は少し考え込み私をかつ・・・かついだ?
「あの・・・・」
ジ「暴れないのか?」
「まぁ。」
ジ「つくづく面白いな。気に入った。」
「?」
ジ「俺がお前を買ってやる。」
男はそういった。
買う・・・。
そのいい方から、体を売るのとは少し違う気が・・・
「・・・・」
ジ「もう少し喜んだらどうだ。」
「・・・・・・一晩だけって意味ですよね?」
ジ「まさか。俺の屋敷で「結構です!!」ん?」
「だったらおろしてください!金持ちの一時期の道楽に付き合う気はありません!!」
ジ「・・・・・・・?」
男はわけが分からないと言う顔をしていた。
それはそうだ。
体を売らずに生きていけるなら、誰だって飛びつくだろう。
でも、私は違う。
金持ちの一時の暇つぶし。飽きたら即捨てられる、そんなのごめんだ。
ジ「嫌なのか?」
「・・・・・・貴方みたいに、私を買ってくれた人が昔いました。けど、遊ぶだけ遊んで私を捨てた。」
ジ「俺はそんな無責任なことはしない(ム」
「分かるもんですか!!人間なんてみんな同じよ!!」
ジ「俺の屋敷に秘書はいない。お前には秘書をやってもらいたいんだが。」
「人の話を聞きなさい!」
ジ「聞いている。俺がお前に飽きたとしても、生活は保障する。」
「そんなの要らないわ!」
私がヒステリックに叫んだのに、男は一向に私を離してはくれない。
欲しいのは・・・生活の保障なんかじゃない・・・
私はボスが好きだった。
だから、彼が望むならなんだってした。
それなのに・・・彼は私を捨てた。
もう二度と・・・あんな想いはしたくないの・・
「私は人と関わりたくない・・・」
ジ「だったら、なぜ生きている。」
「え?」
ジ「体を売ってまで生きているのはなぜだ。」
「・・・・・・・逆よ。死ぬのは・・・怖いもの。」
ジ「怖い・・・か・・」
「眠ったまま死ねたら楽なのに、そんなことも出来ない・・・」
もうこれ以上傷つきたくない。
痛いのは嫌。
生も死もつらい・・
それじゃぁ私は・・
私は、どうしたらいいの?
ジ「俺と来い。」
「今の流れでどうすればそうなるのかしら。」
ジ「俺はお前を捨てない。もう一度くらい、信じてみるのも悪くはないだろう?」
その笑顔が眩しかった。
本当はそう・・・
もう一度チャンスが欲しかった。
でも臆病な私にはそんな勇気なくて・・人を信じられない。
でも・・・
「・・・ふぅ。貴方も大概しつこいわね。」
ジ「気に入ったものは手に入れる主義だからな。」
「私は・・・誰も信じないわよ。」
ジ「構わないさ。」
「ていうか、貴方ロリコンなの?」
ジ「ん?お前年は?」
「今年で12よ。」
ジ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!?」
・・・・そこまで驚くことかしら?
確かに、年の割には落ち着いているとか、大人びているとかはよく言われていた。
そのせいでいらぬ恨みを買ったこともあった。
ジ「てっきり、16前後かと思っていたぞ・・・」
「それは・・(苦笑)貴方は・・20代?」
ジ「いや、今年で30だ。」
「・・・・・ずいぶん童が「ほぅ・・(黒笑」 若作りね。」
ジ「まぁ、いい。行くぞ。」
って、担いだまま!?
何か言おうとしたところにちょうど車がやってきて、男は私を車に乗せ、自分も乗り込んだ。
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