「恭弥、恭弥」

「んっ・・・」

「ほら、起きて」

「・・・・・・・・何」

お花見いくよ

「は?」



ぼやけていた思考回路が一気に復活した朝。

恭弥の前で咲希はにっこりと笑って見せた。



「突然何。勝手に人の部屋入らないでよ」

「だって、恭弥起きないから。ほら、早く着替えて♪」

「やだよ。群れたくない」

「大丈夫!人がいなさそうなところにいくから。せっかくの春なのに桜を見ないでどうするの!」

「寝る」

「・・・・じゃぁ、お母さん一人でいってきちゃうからね。いいのね」

「いいよ」

「っ・・・いいんだ。へぇ、そー」

「・・・・・・・・・・しょうがないな。しかたないからついていってあげる」

「ふふっ。うん」



恭弥はあくびをしながら起き上がった。

毎年毎年花見にいっているのに、どうして今年もまたいくのだろう

そんなことを思いながらもしぶしぶ立ち上がる。



「今日はね、並盛と黒曜の狭間あたりに見に行くから」

「なんでわざわざ。そこら辺に咲いてるじゃない・・・」

「人がいなくて綺麗なところ!いいでしょ?」

「・・・・・」

「バイク乗せてって☆」



もはや、12歳の子供に言う言葉ではない。

*バイクは16歳からです。真似をしないように(ていうか出来ないけど

にっこり笑う咲希に恭弥はため息をつきつつ・・・



「・・・・・・」

「ん?」

「・・・・・出て行かないの?」

「・・・恭弥もそんなこと気にする年になっちゃったんだ」

「逆に、お母さんが気にしてよ。そういうことは」

「お母さんは残念ながらそう言うこと気にしない子なんだ」

「子とか言う年じゃないでしょ」



どっちが子供だか分かりやしない。

いつまでも若々しい母親はうらやましがられるが、いつまでも子供っぽい母親は・・・。

自分が苦労する とため息をまたつく。



「・・・ため息つくと幸せが逃げるんだよ?」

「ふぅん」

「もー!じゃぁ、早く準備して来てね!お昼ごはんはもう作っちゃったんだから!」

「本当にいく気満々なんだね」

「当然!」



笑いながら、咲希は出て行った。

恭弥は服を脱ぎはじ



「どうせなら恭弥のお友達も一緒に行くー?」

「何勝手に入ってきてるの!?」

「いや、お母さんだし・・・・」

「ありえない、ありえない。もうすぐ脱ぐところだったんだからね!?!?」

「まぁまぁ」

「はぁ。で、友達?なにそれ」

「ほら、同じ委員会の人?」
いかない」

「あっ、そ」



また、咲希は出て行った。

今度こそこないだろうな と疑いつつ・・・恭弥は素早く着替える。

着替え終わり、階段を下りると#name#は準備満たんで今すぐにでも出発できそうだ。

ていうか、出発する気満々なんだけども。



「おっそい!」

「全然遅くないよ。いっとくけど、お母さんの分のヘルメットなんてないからね」

「ノーヘル上等!ってやつでしょ??」

何が?僕に同意を求めないで・・・」

「まぁまぁ。早くいこうか」



にこっと笑いながら咲希はバイクにのった。

雲雀もバイクにのり、運転する。そして、桜を見に向かった。



「うわ〜。満開!綺麗だねっ」

「そう?」

「可愛くないなぁ。昔は思ってなくても綺麗だって言ったのに」

「昔でしょ」

「反抗期ってやつ?」

「意味わかんないから。だって、お母さんだって明るくなったし」

「?」



前は、いつ壊れるとも分からなかった。

でも、今は少なくとも前よりも元気になっている。

だから、前よりも自分の気持ちを表に出しやすい。



「でも、綺麗だと思うのに。知ってる?桜は"空に知られぬ雪"って言うんだよ」

「空に知られる雪?」

「そう。舞い散る桜の花びらの様子をね。空から降ったわけではない雪って意味なんだって。涙は空知らぬ雨。空から降ったわけではない雨って意味。」

「ふぅん」

「花言葉は「優れた美人」「純潔」「精神美」「淡泊」「高貴」とか」

「お母さんは桜が好きなの?」

「すっごくねっ!だって、お母さんと恭弥のお父さんの出会いも桜がきっかけなんだよ」



笑っていた。

少しずつ 少しずつ



哀しい が 消えればいい

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