蓮華


ヒュン ヒュン

トンファーを振り回し登校。

当然教師は文句をいってこなかった。

なぜか?恭弥が文句を言われる前に咬み殺してしまったからである。


「ムッスー)・・・・・・・・・」

先生「聞いているの?恭弥君!!」

「煩い。気安く名前で呼ぶな (ギロ」


ただいまお説教中。

怒られているにもかかわらず、恭弥に反省の色は見られなかった。

そんな恭弥に担任の先生は思わずため息をつく。


(いったい、どういう教育を受けているのかしら・・・・)


恭弥の家庭はシングルマザーだから、甘やかされて育てられたとしてもおかしくはない。

けれど、学校にトンファーを持っていくのを許可するなんてさすがにおかしすぎる。


恭「別に貴女には関係ないことだと思うけど?」

先生「ちゃんと先生って呼びなさい。それに関係なくないわ。学校は勉強をするところよ?」

恭「だから?」

先生「トンファーなんて使わないものをもってきちゃダメなの。」

恭「知らないよそんなの。」

先生「それにお友達も傷つけて、ダメでしょ?」

恭「・・・・・・・・・・・・・・・・・は?


一瞬、背筋に悪寒が走ったのを感じた。

依然として態度を変えない恭弥。

小学1年生なんて少し怒られれば泣くだけで、純粋無垢なものだ。


けれど、恭弥は違う。

子供とは思えない冷たさと何もかもを蔑むような目を持っていた。


恭「友達?気色悪いこと言わないでくれる?何勝手に決めてるの。」

先生「勝手って・・・」

恭「貴女の考えを僕に押し付けないでくれる?あんな低俗なやつらと同類だなんて吐き気がする。


ガララララッ


「失礼します。」

先生「ぁ。お忙しい中すいません。」


ちょうどよく、咲希が部屋に入ってきた。

困ったような申し訳ないような微妙な苦笑を浮かべている。

また、困らせてしまったのか・・・?

不意に恭弥はそんなことを思った。



先生「今日来ていただいたのは恭弥君の件なのですが、学校にトンファーを持ってきた上に暴力をふるい・・反省の色も見られません。」

「はい、すいません・・・」

先生「生徒にも怪我をさせました。その場は何とか丸く収まりましたが、恭弥君は協調性にかけていてクラスにも馴染めていないようですし・・」

「はい・・・・」


先生が話しているのに対し、咲希は申し訳なさそうに相槌を打った。



















恭「・・・・・・・・・・」

そのまま、恭弥は家へ帰ることになった。

手は繋がれているものの、咲希は無言で・・・気まずい。

怒っているのだろうか・・・?

そう思い、恭弥がそろりと顔をあげると咲希の顔は、怒っているというより哀しげだった。


恭「・・・お母さん?」

「ん?」

恭「怒ってる・・・・?」

「えっ?ううん、全然。なんで?(きょとん」

恭「黙ってたから。」

「あー・・・まぁ、それはこれとは別。恭弥のことで怒ってるわけじゃないからね。」


いつもそう、咲希は哀しげに笑う。

けれど、憂いを含むその横顔が美しかった。


「今度からはばれないようにやるんだよ?」

恭「ばれないようにね・・・」

「頑張って!恭弥なら出来るから!!」


いやに自信ありげに咲希はいった。

その一言でなんとなくやれるような気がしたのだから

単純なものだとも思う。


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