………何なんだ、これは………。
『Crash down!』
10,000hit memorial…?
ロックが一人、内部調査を兼ねて瓦礫の塔へ行って帰って来たその晩の事だった。
飛空艇へ戻り広間へ足を踏み入れた瞬間…。
辺りに漂う酒気。
そこかしこに散乱した複数の酒瓶。
絨毯の上に転がる男3人とソファに沈む女1人。
酒瓶とこの噎せるような酒の臭いがなければ、敵襲かと思いたくなるような荒れた惨状の前で、ロックは声を無くして呆然と佇んでいた。
完全に酔い潰れた4人は揃って真っ赤な顔をして、寝息を立てて泥のように眠っている。
それはもう、幸せそうな顔で。
「……………………………」
その様を見て暫くは呆れて物も言えない状態だったが、やがて乾いた笑いが引き攣った口元から洩れ、次第に喉の奥から沸々と怒りが込み上げる。
「………お前らなぁ………」
怒りに震える拳を固めて、4人を見下ろした後、傍にあったテーブルを壊す勢いで叩き付けた。
ガッシャーン!
テーブルの上に置いてあったグラスや皿などが叩いた衝撃で飛び上がって床へ落下し、割れた破片が飛び散る。
その音に起きるかと思いきや、4人は揃ってかったるそうに身じろぎしただけで全く起きやしない。
ロックの中で、ぷつりと何かがキレた。
「………なぁに幸せそうに寝てんだよお前らはぁああ〜〜〜ッ!!」
大声で怒鳴り上げ、ズンズンと歩いて広間に入り、一番近くにいたセッツァーを踏みつけた。
「いつまで寝てんだコノヤロウ!起きろ!」
言いながら次はマッシュの頭にゲンコツを下す。
「人が命懸けで調査してたってのに呑気に酒飲んで宴会かよ!?」
そしてその後エドガーの頬をつねり上げた。
「随分といい身分だな、つーかいつまでも寝てんじゃねぇあほ王が!」
殴られた男3人は気怠そうに虚ろに目を開き、まだ開ききらない半眼で不満の声を上げた。
「……何だよロック…人がいい気分で寝てんのに…」
「……そうだよ、何で起こすんだよ…」
「……そんな力いっぱいつねることないじゃないか…」
口々に不満を述べ、それぞれ殴られた場所を痛そうに摩りながらゆっくりと億劫そうに身体を起こす。
反省の色を見せない目の前の男達に苛立ちを隠せず、ロックは怒鳴り散らした。
「ざけんな!今日1日俺がどんだけ苦労してきたと思ってんだ!なのにその間にお前らは楽しそうに飲んだくれやがって…
―――ってオイ!何寝てんだよ?!ちょっ、コラ!寝るなっつってんだろーが!」
耳に煩いくらいに怒鳴っても、酔い潰れた三人には眠気が勝ってもはやそれも子守歌にしか聞こえないようで。
言っている傍から、一度起こした身体が傾いで3人とも再び絨毯に突っ伏した。