「何が面白いのかちっともわかんない」
「ナギ、お願いだからもう少し楽しんでよ」
「しかもこの炎天下の中…暑いし日焼けするし」


午後2時頃に始まった、私が楽しみにしていた、期間限定のパレード。頑張って場所取りをして、レジャーシートまで敷いて楽しく見ているのに、隣に座るナギはすこぶる機嫌が悪そうだ。

それに反して楽しそうにキャラクターに手を振る他のお客さんたち。笑顔(着ぐるみだけど)を振りまくキャラクター達。
周りはこんなに幸せそうなのに、ナギってば不満そうにドリンクのストローを噛んでいる。


「中に入ってるの、生身の人間でしょ」
「そうだけど…そんなこと言わないでよ、あ!ミニーちゃん来た!可愛いー」
「ねぇ…ねぇってば、」


そんなナギのことは放っておこう。
スマホで動画を撮りながらパレードに夢中になっていると、ナギが私に近づいて、耳元で囁いてきた。


「ね、僕の方が可愛いでしょ?」
「っ!」


いくら周りが声や音楽でざわついているとはいえ、耳元で囁かれたらダイレクトに聞こえる。さらに甘えたような目で私を見つめてくる。うっ、あざとい…!


「わかった…ナギの方が可愛いからっ…!」
「そ、ならいいや」


そう答えれば満足したようにパレードの方に向き直したナギ。どうやらご機嫌は回復したようだ。

ドキドキする私をよそに、パレードはどんどん進んでいく。


「それじゃあ皆さん、一緒に踊りましょー!振り付けはー…」


キャストさんが教えてくれた振り付けを一発で覚えて、いざとなると笑顔で踊るナギは、やっぱり皆のスーパーアイドルだなと思った。



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